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Photographer Takashi Iwamoto Blog

ブログ | アフリカ フォトグラファー 岩本貴志|ドキュメンタリー ビデオ / 写真 撮影

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執筆者の写真岩本貴志

奥多摩の渓流散歩

更新日:2023年3月16日

つい先日、日帰りで奥多摩の渓流へ散歩へ行った。

白丸ダムから多摩川をたどって日原川、そしてその支流へと川沿いの道を歩いた。

学生時代には山歩きや釣りで何度も奥多摩に来た事のあるなじみの場所だ。

アフリカにいると日本の駆け廻る四季の変化と、山間部に流れる渓流が恋しくなる事がある。

東アフリカには雨期と乾期があるのみで季節感があまり無い。

渡り鳥、ヌーの大移動と季節を感じさせる出来事はいろいろあるけれど、見た目で分かる季節変化は湿った緑の雨期か、乾燥して黄色い乾期の二つ。

アフリカ大陸のスケールの大きさに魅せられケニヤに移り住んだ管理人は、それとは正反対の繊細な日本列島も非常に好きだ。

北から南へ細長く山がちで変化に富んだ日本列島。

繊細に入り組んだ海岸線と六千を超える島々、日本列島は見れば見るほど芸術作品のようだ。

山間部に行けば四季折々に彩を変える森に囲まれた清らかな渓流はまた美しい。

降雨に恵まれた国ならではである。

多摩川上流部、長雨の後で水が濁っている

日本では雨が降ると「天気が悪い」というけれど、それは恵みを感じないほどよく雨が降るからだろう。

雨の少ない国からすると贅沢な言葉だ。

降水量が1000mmに満たない東アフリカでは雨に対して「天気が悪い」という認識はほとんど無い。

タンザニアに留学していた頃、鳥の調査が雨で中断され、「天気が悪いな」と言った管理人に対し「恵みの雨じゃないか、そんな事言うな。」と先生に注意された事がある。

ごもっともだと思った。

日本が森と水に恵まれ美しく豊かなのは、この雨のおかげだ。

ダム湖に立ち込める霧、その向こうにカイツブリの姿

という事で、

青梅線の鳩ノ巣駅を降り、多摩川沿いの遊歩道を歩きだす。

まず、井の頭公園で馴染みのカイツブリが霧の立ち込める広い白丸ダムの湖面からこちらの様子を伺っていた。

しばらくすると霧の奥に姿を消した。

悟りを開いたカイツブリが修行をしているかのようだ。

しばらく歩くとまだ青いながらも栗が落ちていた、夏も駆け抜け秋は間近だ。

青いながら道には栗が落ちていた、秋は間近だ

多摩川は奥多摩駅近くで日原川に枝分かれする。

多摩川を上流に辿ると小河内ダムがあるのでダムの無い日原川に進路をとる。

日原川も雨の影響で水量が豊富で水も濁っていた。

釣りをしてもこれじゃ魚は釣れなそうだ。

深い谷底を流れる日原川

上流部に行くほど谷も森も深くなり、水も澄んでくる。

しばらく行ってさらに日原川の支流へ分け入る。

深い森の中を流れる渓流、見ているだけで心が浄化される

川辺には谷は深くなかなか降りれない。

支流をしばらく行ったところで水辺に下りる事が出来た。

何か観れればと、今日は時間までここでひっそり岩になったつもりでたたずむ事にした。

あたりはひんやりと涼しく、聞こえるのは川の流れとセミの声、たまにカワガラスの鳴く声が聞こえるのみ。

たまらなく心地よく心が安らぐ。

思いっきり深呼吸をすると、渓流の冷気とともに森の息吹が体の中に充満していく。

しばらくするとカワガラスが姿を現した。

えさの水生昆虫等をとるため水の中に潜ったり出たりを繰り返すカワガラス。

何度か川の上流と下流を行ったり来たり、場所を変えながら水に潜りながらえさをとっていた。

ずっと水中を泳いでいるのに水滴一つ付いていない羽毛。

防水性能はカイツブリ以上だ、果たしてカワガラスの羽毛にはどんな仕掛けがあるのだろう?

そんな事を考えながら、カワガラスを観ていると、森の中を飛んでくる影どこか木の上のほうに止まったようだ、しばらくすると川に舞い降りた。

降り立ったのはツミ、水浴びをしにきたようだ。

ツミは水浴びをするために舞い降りた

いきなりの外敵の襲来にカワガラスは低い姿勢になりツミがどこかへ行ってしまうまでじっとしていた。

幸いツミはカワガラスに気づく事無く飛び去った。

水中を泳いでいる間はえさをとるのに夢中で上空に対しては無防備なカワガラス、こんなに目立たない地味な姿をしている理由がよく分かった。

お尻を低い姿勢に保ち、危険が去るまでじっと石に化けるカワガラス

カワガラスは、ツミが去ってからもしばらく動かず、危険が完全に去るのを確認していた。

当たり前に存在するので気づかない豊かさ。

人々はそれが失われてからその価値を認識するものだ。

管理人はアフリカで生活をするようになってから日本の繊細な自然の美しさをより強く愛おしく感じるようになった。

いつまでも、その美しさがそのまま残っていてほしいものだ。

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