今回は初めて、国際宇宙ステーションの撮影にチャレンジしてみたので、その事について紹介します。
ほぼ真上にやって来た国際宇宙ステーション(ISS)、上空411キロメートル
上の写真の画角は12000mm相当(35mm判)
【目次】
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ISSの居場所、見え方を教えてくれる便利なアプリ
以前ご紹介したオススメアプリ、Flight Radar 24に次いで、第2弾のオススメアプリ、ISS Detector。
このアプリ、国際宇宙ステーションが、何時、どこで、どのように見られるのか事細かに教えてくれる。
ISSを見るために必要な思いつく、ほとんどの情報が得られるアプリだ。
昨日の夕方(2021年3月12日)、「次回の国際宇宙ステーション、ISSの見ごろはいつだろう?」と、ISS Detector(外部リンク、Google Play)を覗いてみた。
するとその日の夕暮れ時、ものすごい見ごろだという事が分かった。
日の入り後1時間弱経ったちょうどいい頃合の時間にナイロビ真上を通過するという絶好のコンディション。
空も晴れそうだったので、早速、撮影の準備を始めた。
ちなみにアプリを見たのは16時ごろ。
いつでも見れそうなISS、国際宇宙ステーションだけど、なかなか好条件にめぐり合えない。1時間半おきに地球を一周するISS、確実に毎日どこかで見ごろ。
でもなのだが、いつでも見れるわけでなく、夕方空が暗くなってから日の入り後の数時間と、日の出前の数時間。
毎日どこかで好条件なのだけど、自分がいる場所で好条件な事はそうそうお目にかかれないのだ。
もちろん、雲がかかっていては、いくら好条件でも見る事は出来ない。天気は重要だ。
それ以外のISSを撮影する方法
月や、太陽の表面を通過する短い瞬間も国際宇宙ステーションを撮影する事が
出来る。
昼間だったら太陽表面を通過するのと時。
日が沈んでしばらくしてからは、月面を通過する時。
ISSが月面、太陽面を何時通過するのかは、
で知る事が出来る。
月面や太陽面を通過するのはほんの一瞬。
また、観察場所をちょっと移動するだけで、月面や太陽面を移動する場所が変化、観察場所で見え方を調節する事が出来る。
400キロ以上の上空を周回する国際宇宙ステーション。
最大の人工衛星とはいえ、そんなに遠く離れた人工衛星、さて、どの程度写るものだろうか?
国際宇宙ステーション(ISS)
現在地球の上空、には4000を超える人工衛星が軌道上を周回しているという。
数多くある人工衛星の中、最大のものが、国際宇宙ステーションISS。
宇宙飛行士が常に滞在している宇宙ステーションだ。
この宇宙ステーションを建設するために50回以上にも分けて、資材を地球上から軌道へと持ち上げたという。
今は引退してしまったスペースシャトルが、建設には大活躍。
半分以上の資材は、引退してしまったスペースシャトルによって運ばれた。
大きさは73x108x20(m)重さ344トン。
重さ的には、ちょっとだけ燃料を入れたエアバスA380ぐらいだ。
地上でビルを建てるのとは分けが違う建設過程。
地上に対して秒速7.9キロで動き続ける建物だ。
人間の居住できる、地球環境を宇宙に持ち出し建設された、人類史上、究極の建造物ともいえるだろう。
中では日々、無重量下でしか行なえない、数多くの実験などが行われているという。
撮影時、日本人の野口宇宙飛行士もISSの中で活躍中だ。
ISSには、きぼう(外部リンク、JAXA)という日本の担当した実験モジュールも備え付けられ、日々宇宙の微小重力かでしか出来ないような実験が行なわれているという。
という事で、細かな事はWIKIで調べてもらう事にして。
今回の撮影方法
今回の機材は、500mmの望遠レンズにテレコン2xと1.4xのダブルテレコン、合計焦点距離は1400mm。
こういった超拡大撮影、カメラで重要なのはピクセルピッチ、小さければ被写体がより大きく拡大されるので都合がいい。
フルサイズの広いセンサーサイズは、余白を広げるだけのほとんど意味を持たない撮影対象になる。(強いていえば、被写体を視野の中に入れやすい事)
という事で、D850(4.35μ)よりもピクセルピッチの狭い、GH4(3.75μ)を使用した。
ピクセルピッチはカタログデーターから算出。
マイクロフォーサーズなので、1400mmの焦点距離は、35mm換算でいうと画角は2800mm相当。
初めてなので視野に入れ損ねる危険を考慮して、焦点距離5.6倍になるトリプルテレコンは使用しなかった。
さらに細かなピッチのカメラであれば、光学的に拡大しないでも、より拡大できる事になる。
最近はこういった高拡大撮影に適した、CMOSセンサーが安価で販売されているのでちょっと気になるところ。
そのうち購入して試してみれればと思っている。
テレコンバーターを付けた500mm、重たいうえ、画角は35mmフルサイズ換算で2800mm相当、手持ちでは難しいので、しっかりとした三脚に、ビデオ雲台に固定して撮影に挑んだ。
ISSの撮影
ISSはISS Detecter の教えてくれた通りの時間に、アプリの言っていた通り、南西のほうから姿を現してから、上空を5分ばかりかけて横切り姿を消した。
見え始めてから一気に明るさを増し、最大マイナス4.6等(アプリ推測値)、かなりの明るさ。天頂を通過する頃には、金星以上の明るさになった。
その間、狭い視野の中からISSが外れないようにし、4K動画で撮影を続けた。
フォーカスは、あらかじめ明るい恒星でしっかりと合わせてからのISSの撮影。
フォーカスが、無限に固定された被写体、ISSの撮影では、オートフォーカスではなくマニュアルで事前にピントをあわせておく事をおすすめする。
フォーカスを合わせるのには、夜空に輝く明るい星などを利用するといいだろう。
2800mm相当でもファインダーにはほとんど点状のISS
カメラのファインダーに写るISSは、いびつな点状にしか見えない小ささ。
PCに落として拡大して見てみると、それなりに国際宇宙ステーションの形が浮かび上がった。
GH4、最低感度ISO200で撮影したにもかかわらず、けっこうなノイズが浮き上がってしまっている。
ノイズを若干減らすため、作例では数枚コンポジットして画像を仕上げた。
白とびをおさえようと、抑え目にした露出、もっとプラスに振ったほうが良かったようだ。
一世代前のGH4、シャドーノイズは苦手なんだなー。
GH4の発色やトーンの出し方はGH5とGH5Sの中間ぐらいだろうか、発色は個人的には一番好きのだけれど。
次回は、トリプルテレコンにして拡大率をさらに上げて(2800mm)シャドーのトーンを美しく出してくれる、D800Eで撮ってみようと思っている。
D800Eの14ビットRAWは、GH4とは勝負にならないほど、シャドーもハイライトもきれいに出してくれるので、かなり期待出来る。
この拡大率、動きの早いISSを視野の中に入れ続けるのは至難の業だろうが、フルサイズでの視野の範囲は今回と変わらない事になる。
さらにその次はD850で撮影する事を計画している。
D850のシャドーノイズ、はたして。
分かりやすいように、上写真をピクセル200パーセントに拡大して出したのが下の写真。
左右端にあるのが太陽光パネル、その内側、明るく白く輝いているのが放熱パネル。
空気がほとんど無い上空400キロメートルの宇宙空間、非常に寒いはずだが、地球上のように廃熱、冷却する事はなかなか困難なのだ。
熱くなったガスや水蒸気を宇宙空間に捨てるわけにもいかず、いらない熱はこの巨大な放熱板から放射される事になる。
真ん中の筒状の場所が居住モジュール、実験モジュールなのだろう。
日本の実験棟のきぼうは、おそらく向こう側(上側)だと思われる。
この500ミリレンズを使ったシステム、ISSの姿はもっと細かく写ってくれそうなので、さらに撮影に挑戦しようと思っている。
広角で同時に撮影した画像をチェックしてみると、ISSの進行方向前側、上の写真で下側に小さな衛星が飛んでいた。
これからISSにドッキングするのか、それともISSから離れて地球に帰還するところなのか?
高校時代に見た、日本人宇宙飛行士、秋山さんの乗ったミールとソユーズ
日本人初の宇宙飛行士、秋山さんの乗ったソユーズと、これから合体するミール宇宙ステーションがランデブーしているところを、近所の公園から友人と共に見たのを思い出した。
当時、双眼鏡を持って待ち構え、姿が見えた瞬間に、いた!!!
「秋山さーん!!」と叫んだほど、純粋な心を持っていた筆者。
スマホもアプリも無い時代、新聞やニュースでおおよその情報だけが頼り。だから見つけたときの喜びはひとしおだったのだ。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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