昨日2020年12月21日、木星と土星が大接近しました。
今回は、強拡大して撮影した木星と土星の写真です。
最接近3時間弱前の木星と土星、その距離6分
上の写真は、ナイロビの自宅の窓から撮影。
時刻は19時(+3)をちょっと回った時間。
何か合成のようですが、木星と土星の位置関係は合成ではありません。
木星と土星が最も接近するのはナイロビでは、21時56分(+3)という事で、最接近する3時間弱前の写真だ。
この3時間後の最接近時は、木星が少しだけ写真を上、微妙に右上に移動して最接近となる。
同時に土星もスコーシだけ上に移動。
極々小さな変化なので、最接近時の写真といっても差し支えはないだろう。
上の写真は、例によってパナソニックのGH4で撮影した動画をRegistax6で処理を行った。元素材も露出をずらしながらいくつか撮影した。
それぞれ良いものを選び、Registax6で、いくつか処理方法を変えて作った静止画像をPhotoshopで合成し、最終画像とした。
レンズはニコンの旧サンヨン、300mmf4にテレコンを3個かまして、合計焦点距離は1680mmだ。
木星と土星の明るさの差が分かるように、両惑星とも同一処理を施しており、実際の明るさの差もこの程度という事と言えるだろう。
ただ、木星のガリレオ衛星は暗いので、同処理では、暗すぎてほとんど写らないので、露出を上げて撮影したものを合成した。
いつも行なっているのと同様、惑星の画像処理は、望遠鏡で実際に見た感じを目指して行っている。
望遠鏡で覗いて見ても、だいたいこんな感じ。
以前の惑星関連の記事でも、惑星の画像処理について触れているので、ご興味のある方は、そちらをのぞいてみてください。
20年で一回り
2020年夏ぐらいから年末の大接近に向けて、しばらく気にして見ていた木星と土星の位置関係の変化。
木星と土星の会合は、ほぼ20年ごとに木星が土星を追い越していく度に起こる現象。
木星の公転周期が11.86年に対して、土星の公転周期が、29.53年。
夏(8月)には、その距離の変化はほとんど感じなかったが、2つの惑星が接近してくると、案外速く動いているように見えるのだなーと感じるのであった。
そこで、その動きの速さが、実際どの程度のものなのか、計算してみた。
ちょっとだけ算数、割り算の時間
イメージするだけなので、細かい数字は割愛。
20年で360度の動きは
1年で18度
1ヶ月で1.5度
1日で0.05度(3分)
1時間で0.125分(7.5秒)
地球上の距離でいうと
20年で地球一周40000Km
1年で2000Km
1ヶ月で167Km
1日で5.6Km
1時間で231m
時速231メートル。
その速さと時間のイメージ、分かるようで、わかりずらいな。
という事で上の写真と、3時間弱後の再接近時の違いは、単純に地球上を700メートルほど歩いて変化する、夜空に輝く星の見える角度の変化に等しい事になる。
非常に小さな違いではあるが、望遠鏡での強拡大。
その動きも、それなりに拡大されて大きく見える。
上の写真、木星と土星の角距離は6分ほど。
20年で一回りの動きは、1日で3分(あくまでも平均値)という事は、2日間でこの距離が2倍に広がるという事だ。
ゆっくりであるようで、拡大してみると、そうそうゆっくりでもない事が分かる。
撮影場所と撮影方法
ナイロビの自宅屋上からだと、西の空が見えないので、今回は家の中から窓越しに撮影。
木星、土星最接近の撮影風景
という事で、コンパクトなケンコー・トキナー社製のスカイメモTで追尾した。
赤道儀の関係で、レンズは以前ブログでもご紹介した、300mmf4。
いやはや、短焦点レンズ、ニコンの旧サンヨン、若干の色収差は見られるものの、切れ味は抜群だ!
単焦点レンズ、その焦点距離で、突き詰められた光学性能と言う事が出来るだろう。
ズームレンズよりも守備範囲は広い。
今回は拡大撮影法ではなく、300mmf4にテレコンを3個重ねて拡大率を上げて撮影した。
管理人自身、太陽黒点の撮影に使用しているのと全く同じトリプルテレコン設定。
このサンヨン、トリプルテレコンで太陽黒点の変化の撮影を続けている。
テレコンの性能も良く、元レンズの性能を生かしてるという事だろう。
太陽黒点の変化も、なかなか見ていると面白く、乙なものだ。
自分で撮って、自分なりに太陽活動について妄想しながら、天文台や、太陽観測衛生などの情報を見るのだ。
今後、木星も土星も、すぐに太陽の裏側に隠れてしまい、夜空から見えなくなってしまう。
夜空に2大惑星がいないのは、ちと寂しい。
しばらくは、そんな寂しい夜が続く事になる。
この大接近の1日前にも撮影を試みようとしたのだが、曇ってしまい撮れずじまい。
最接近の本番当日、晴れてくれて良かった!
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