アフリカと日本を股にかけ活動するカメラマンのブログへようこそ。
このブログでは、筆者がケニアで乗っている愛車のランクル75型、トゥルーピーの修理記を掲載しています。
この車、今年(2020年)で生産から30年、購入から19年目に突入しました。
ますます快調に動いてくれるのですが、たまに体調を崩すようで、今回は燃料ラインの不調が発生したので修理しました。
このランクルトゥルーピー、日本では販売されていませんが、アフリカ各国、オーストラリアなどでは今でも生産、販売されている車です。
75はその中でも古いタイプで、前のサスペンションに板ばねを採用したタイプです。
今回は、18年間の間に起こったエンジンスタートの不調と、その原因、修理した方法、さらには再発防止策についてまとめてみました。
【コンテンツ】
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長年乗っているといろいろと不調が出てくるもの、ランクル70型
現在筆者の乗っている車は1991年生まれのランクル70型、HZJ75 トゥルーピー。
サファリ用におおきく改造を施してある。
エンジンは1HZ、6気筒4200ccのディーゼルエンジンを搭載。
製造から32年が経過、乗り始めてからも既に21年が経過している。
年数の割に走行距離はまだ24万キロほどしか走っていない。
実際は定かな走行距離ではないが。
1HZエンジン、グロープラグの通電チェック中
これぐらいの年数が経過すると、各種部品がヘタり、走行していて多種多様な事が起こってくるものだ。
そんな事態に対処しながら車を快調に保っていくのも、古い車を乗っていく醍醐味だ。
今までにどんな経年劣化の症状が起こったか、上げてみると
スターターモーターの、ブラシが真っ黒に変色、回りにくくなりブラシ交換、ブラシが一本断線した事もあった
ブレーキマスターシリンダーの内側が、長年の使用で削れてブレーキが利きにくくなった、ピストンを2度交換の末、全て新しいものと交換
各車輪のブレーキシリンダー、液漏れ交換
ハブ、デフ、液漏れ発生、シール類交換、複数回
クラッチシリンダー、クラッチ側ピストン損傷、ピストン交換
スピードメーターケーブルが切れかけ交換、2度
プレヒート用のグロープラグが切れ交換
ブレーキブースターの真空漏れが発生
ドアハンドル交換、運転席側は2度
ウインドウォッシャーモーター交換、2度
ステアリングクラクション接点交換
右ウインドレギュレーター交換、2度
リアアクスルチューブ交換
フロントアクスルチューブ交換
とりあえず思いついたものを上げたが、他にもきりがないほどだ。
こんな古い車でも、流石はサファリの王者ランクル、殆どの消耗部品はわりかし安価で、こちらの国では結構な田舎でも手に入れる事が出来る。
なおかつ構造もシンプルで、頑丈な車、修理も大抵自分で出来てしまう。
自分で修理を行えば、維持費はそうかからない。
磨けば磨くほど輝き、調子が良くなっていく。
走る楽しさ、いじくる楽しさと、乗れば乗るほど、いじればいじるほど、愛着が湧いてくる車だ。
という事で、今回はそんな筆者が、かわいがってきた75トゥルーピーの、今までに起こったエンジントラブルと対処法について書いていく事にした。
(全ては、筆者の経験談で、修理マニュアルではない事をご留意願います。)
電気系統をいじくる時は基本、思わぬ事故を防ぐためにも、バッテリーのネガティブターミナルをはずす事を忘れずに!
今時のハイテクマシーン、バッテリーターミナルをはずすのも注意が必要そうですが。
全ては自己責任でお願いします。
1、オルタネーターのトラブル
18年前に購入して最初に経験したトラブルは、バッテリーの電圧が下がり、エンジンを押しがけしなければならなくなったトラブル。
原因は、オルタネーター。
症状
夜間走っていて、どうもヘッドライトが暗くなり、電圧が下がっている事に気が付いた。
さらに走っていくうちにバッテリー電圧もさらに下がり、最終的にセルモーターではエンジンがかからなくなってしまった。
テスターで調べてみると、エンジンの回転数を上げても電圧が上がらない。
という事で原因はオルタネーターだと分かった。
原因
オルタネーターが不調になった直前に、高圧洗浄機でエンジンルーム内を洗浄していたので、おそらく洗浄時の水が悪さをしたものと思われる。
という事で、オルタネーターを修理した。
修理
オルタネーターのICチップは無事で、壊れたのは外側に巻かれているコイルで、断線していたようだ。
不良コイルアッセンブルをオルタネーターから取り外し、交換した。
後から知ったのだが、リビルド品を買ってしまったほうが安かったようだ。
苦労したかいもあり、オルタネーターの仕組みも知る事ができた。
再発防止するために
高圧洗浄機でエンジンルームを清掃する場合、防水パッキンなどがへたっている古い車は注意が必要そうだ。
その後、エンジンルーム内の洗浄は、極力水は使っていない。
エンジンルーム内にヘッドライト用に設置したリレースイッチ類は、何度も交換している。
原因はリレー内の水の浸入によるさび。
ボンネット内部のプレヒートリレー、大電流の流れるリレー内部
バッテリー脇に配置されている大きな、スターターモーターとプレヒート用のリレー、結構値の張るリレーだ。
ここは特に水に注意必要がありそうだ。
こちらは一度、開けて内部のサビを落としている。やはり水気が原因。
防水処理されている部品、パッキンなどの樹脂類は経年劣化で硬化し防水効果は年とともに落ちていくもの。
余計な出費やトラブルを避けるために、古い車は、なるべく水洗いは避けたほうが良さそうだ。
その後、ステレオ、ウーファーや、ライト類の電装品を多く積んだので、オルタネーターは一回り大きなものに交換した(リビルド品)。
といっても18年もほど前の話。
交換してから、今までに全くトラブルは起こっておらず、今でも快調に定格電圧内で発電してくれている。
もちろん、トラブル以来高圧洗浄機でのエンジンルーム内の清掃は行なっていない。
ボディ下部からの高圧洗浄する時は、オルタネーターに水がかからないようにしている。
気にしすぎかもしれないが、やりすぎて困るものでもない。
2、暑い時にエンジンがかかりにくい
エンジンがスタートしないトラブルは、大抵スターターモーターの力不足。
バッテリー電圧の低い朝の寒い時間帯が多いのが一般的なのだが、それと全く逆のトラブルに見舞われた。
症状
長時間走行後エンジンが温まって、バッテリー電圧も十分あり、スターターモーターが元気に回っているのにもかかわらず、エンジンがスタートしないという症状。
走行中にエンジンが止まってしまう事も。
そんな時、いくらがんばってもエンジンはかかってくれない。
エンジンが冷えてくると、エンジンがかかりやすくなる。
面白い事に、寒い時間、朝一の始動は全く問題ない。
原因
この問題は、いろいろと調査を進めていくうちにインジェクターポンプが原因だという事に辿り着いた。
取り外したインジェクターポンプ
この部品、燃料を高圧で各シリンダーにタイミング噴射するポンプで、1HZディーゼルエンジンの心臓部にあたり、それなりに値段も張る。
なぜ、インジェクターポンプが不調になってしまったかを辿っていくと、原因は安く質の悪い軽油が原因だったようだ。
その時まで、「燃料などみな一緒!」という勝手な判断で、なるべく安いスタンドで給油していた。
それが繰り返されていくうちに、インジェクターポンプ、ローターの部品にダメージがいってしまったように思う。
そんなダメージによって、十分な圧力でシリンダー内に燃料が噴射されなくなってしまったのだろう。
安物買いの銭失いとはこういうものだと、つくづく思うのであった。
今から18年前、ケニアには結構怪しいスタンドも多く存在していた。
今でも、地方に行くとポリタンクにつめた軽油を売っていたりするのだが、値段は多少安い。利益を上げるため何かしら混ぜ物をしている事が疑われる。
話によると、エチオピアとの国境に近い場所では、インジェクターポンプが半年ももたない事があるという。
そこで手に入るのは、そんなポリタンクに入った質の悪い軽油のみ。
修理
修理は、ポンプのローターの交換と、各シリンダーに据付けられている、インジェクターのノズルも新しいものに交換した。工賃はおよそ45000円。
インジェクターポンプのローターを交換する事によって問題は解決した。
3年前にもインジェクターポンプのサービスを行なった、その時の様子は動画にしてまとめた。
再発防止するために
今では、スタンドの銘柄と過去のエンジンの調子などを考慮し、軽油には結構気を使っている。
こちらでは最近T社の軽油が良いようで好んで使っている。
アイドリングも滑らかで、パワーがあり、黒煙もほとんど発生しない。
アフリカの国々では、軽油の銘柄によってエンジンのパフォーマンスがかなり違ってくる。
始動のしやすさ、アイドリングのスムーズさや、エンジンのパワー、黒煙の出方まで違う。
エンジンが調子よく回る軽油は、エンジンを長持ちさせる事だろう。
どれも日本では無さそうな問題だな・・・
日本にある寒冷地仕様や、温暖地仕様の軽油のパフォーマンス違ってくるのだろうか?
そういえば、てんぷら油って、ポンプに負担いかないのかな?
最近、バイオディーゼルとかあまり聞かないな。
世界的なEV車キャンペーン中だし当然か。
3、朝一の始動、しばらくの間エンジンが大きく振動、白煙をモクモクと出す
症状
朝一のエンジンをスタート直後、しばらくの間、エンジンはガタガタと大きな音を発し、白い煙をモクモクと噴出。
こんなスタートをするようになった事があった。
原因
すぐに、一部ピストン、グロープラグのプレヒート不足が原因だと直感。
テスターで確認してみると、思ったとおり、各シリンダーに配置されているプレヒート、グロープラグのうちの一つが断線していた。
6気筒のうち、5気筒だけがプレヒートされ、残りの1気筒がプレヒートされず、不発。
不発の燃料の霧がマフラーから噴出された形になっていた。
一気筒爆発していない事で、回転バランスが崩れる事によって、ガタガタと大きな振動と音を発していたのだ。
エンジンをかけてからちょっと経つと、音も煙も消える。
周辺の気筒から熱が伝わり、不発だった気筒も点火するようになるようだ。
修理
この車を中古で購入時、グロープラグは全て交換した。
その取り外した6本のグロープラグは捨てずに取っておいたので、断線したものを、それと交換した。
取り外したグロープラグ
交換すると、問題はすんなりと解決した。
このグロープラグをエンジンブロックからはずす作業は、潤滑油を十分浸透させ、時間を掛けてゆっくりと作業を進めたほうがいいだろう。
「力づくで作業を行い、グロープラグが途中で折れてしまった」という記事をネットで見た事がある。
そんな事になってしまったら、トンデモ無い悪夢!
慎重に作業を進める
という事で、つい最近もグロープラグを1本交換したのだが、潤滑油が十分に浸透するのを待ってから、ソケットレンチでまっすぐ力が加わるように、上を十字にして慎重に慎重に作業を進めた。
再発防止するために
特に再発を防止する方法は無いが、たまにこのブログの冒頭二番目の写真のように、各ブロープラグの通電状況を確認してあげるといいだろう。
通電していなかったり、通電しにくいようだったら新しいものと交換。
5、バッテリー電圧が十分あるのに、スターターモーターが元気よく回らない
症状
バッテリー電圧は十分あるのに、スターターモーターが元気よく回らない。
こんな時、まず疑うべきはスターターモーターのブラシ。
取り外したスターターモーター
原因
以前、記事、ランク、セルモーター修理、大復活の巻きで、修理の様子は取り上げたが、長年使っているとブラシの銅が黒く変色し電流が流れにくくなる。
電流が流れにくくなると、当然ながらモーター回転力が落ちてくる。
黒くならなくとも、ブラシが減って、コミンテーターとの接触が悪くなり、モーターが回りにくくなる事も。
長期使用で変色したブラシ(左)、と新しいブラシ(右)
上写真左のブラシ、セルモーターは動くには動くのだが、本当に力が出なくなった。
右の新しいブラシに交換して、セルモーターは大復活するのであった。
その変化と修理の様子はこちらの動画で、ランクル、スターターモーターの修理、ブラシ交換(1991年製、HZJ75 1HZ)
修理
ブラシ自体はまだ十分にコミンテーターに接続しているにもかかわらず、力が落ちてきたら、ブラシは交換するべきだろう。
また、ブラシが一個でも減って接触が悪くなってきたら、全てのブラシを交換する事をお勧めする。
ブラシ素材の銅は、経年劣化で通電性が悪くなるからだ。
スターターモーター中身の清掃
回転力が弱まっている事を感じたら、ばらしてコンミテーターとブラシを清掃してやるのも、おすすめ。
ブラシの状態、各接続が緩んでいないか、等も十分確認。
全ての接点も、電気が流れやすくなるように、清掃してあげるといいだろう。
コミンテーターの細い隙間は、爪楊枝などで汚れを取り除いてあげる。
戻す時は、防水のハッチなどしっかりと元の場所にはまっている事を確認!
過去に一度、ブラシをつなげるワイヤーの1本が外れた事もあった。
3個のブラシが生きていたので動くには動くが、力不足。
こちらはワイヤーを元の場所に半田付けして修理した。
6、スターターモーターがエンジンがかかっているのに回り続ける
画面右が新しく購入したソレノイド、組み上げているところ
症状
数年前に起こったこの問題、ブログを書き始めた頃に記事で取り上げた。
原因は、スターターモーターのソレノイドスイッチの作動不良。
スターターモーターが回転すると共に、フライホイールにスターターモーターの回転はギアで伝えられ、エンジンはスタートする。
と、そこまではいいのだが。
キーを、運行ポジションに戻しても、スターターモーターのギアはフライホイールにつながったままモーターは回転を続けるという症状が出た。
スターターモーターはアイドルするエンジンと共に回転し続ける。
原因
エンジンスタート後、キーを戻すと、フライホイールに接続されていた小さなギアは、引っ込み、エンジンとスターターモーターの接続は解除される。
そんな、小さなピニオンギアを、動かすのがソレノイド。
今回の不具合は、そのソレノイドが作動不良になってしまったのが原因であった。
長年の使用が原因なのだろうか?
修理
修理は無理だと、スターターモーターソレノイドを丸ごと交換し、症状は完治。
とりあえず直ったのはいいのだが、今度は別の問題が発生した。
何かを直すと、別の不具合が発生するという一例。
7、スターターモーターソレノイドスイッチ接点の問題
そんなソレノイドを新しくすると、今まで無かった接点に不具合が出るようになった。
症状
キーをひねってもすぐにスターターモーターが動かず、一瞬、間を置いてまわり出す。
そして、キーを戻してもすぐにスターターモーターが止まらない。
原因はスターターモーターと、ソレノイドを動かす接点が焦げ付いて、接触が悪くなり、接続した後は、接点同士が溶けてくっついて、止まらなくなっているという事が予想された。
接点が黒くこげ、溶けて固着した痕も見て取れる
修理
スターターモーターのソレノイド接点を確認してみると、案の定、接点の表面が焦げ付いていた。
予想していた通り、接点同士が溶けて引っ付いていたようだ。
とりあえず表面をきれいに磨き、元に戻す。
修理直後は調子が良くなるが、すぐに同じ症状が再発。
磨くだけでは接点同士の火花を止める事が出来ないようで、接点表面はすぐにまだらに黒く変色した。
スタートの度に、接点の通電性が悪くなり、調子が悪くなっていく。
焦げて、接触がどんどん悪くなるのだろう。
調子が悪くなる度に、分解清掃、表面をやすりで磨いたが、何度やっても症状が改善されなかった。
ここは極太ケーブルが接続された最も大電流の流れる場所、このままでは非常に危険だ。
再発防止法
接点といえば「タミヤ接点グリス!」そんな事が頭をよぎった。
それも子供の頃にラジコンで遊んでいたから。
という事で、管理人自身子供の頃からなじみのあるRCカーで使用していた、タミヤ接点グリスを接点表面に塗ってみることにした。
管理人は小学校5年のとき、タミヤRCカー、ワイルドワンで遊んだのが始まり。その後、京商、オプティマに乗り換えいろいろ改造したりして遊んだ。
再度、分解、接点をきれいに磨いてから、タミヤ接点グリスを塗った。
接点グリス塗布後、スターターモーターの調子はすこぶる良くなり、全ての問題は完全に解決した。
タミヤ接点グリスを、接点に塗布
接点グリス塗布から4年ほど経つが、全く問題なく今に至っている。
前回、スターターモーターのブラシを交換した時も、ここは開けていない。
キーをひねった瞬間に、スターターモーターが回り、戻した瞬間にモーターが止まる。
そんな当たり前の事だが、完璧な作動をするようになった。
タミヤ接点グリス、優れものだ。
ちなみに一度、ベアリングなどに塗る一般的なグリスを接点に塗って試してみたが、焦げ付きは全く改善されなかった。
8、スターターモーターは元気よく回り、プレヒートも十分されているのになかなか始動しない
症状
スターターモーターは、とても元気に回っているのにもかかわらず、エンジンがなかなか、かからない。
これは最近の出来事、原因を突き止め、直したばかり。
原因を突き止めるために、まず行なった作業が以下のとおり
エアフィルターの確認とブローアップ清掃
燃料フィルターの交換、
プレヒート、グロープラグそれぞれの断線の確認、
プレヒート電圧の確認
と、一般的な対策を行っても解決されず、最後に辿り着いたのが、インジェクターポンプに位置する、燃料カットソレノイドの作動不良。
燃料カットソレノイドは、キーを戻す事によって、エンジンへの燃料の供給をストップさせエンジンを止めるスイッチ。
燃料カットソレノイドにバッテリー電圧が加わると、燃料の流路が開かれ、エンジンが始動出来る状態になる。
逆に、電圧が途切れると、燃料が断ち切られ、動いていたエンジンが止まるしくみ。
原因
今回の、なかなかスタートしない症状で、うすうす感じていたのは、燃料が十分エンジンに行き届いていないという事が疑われた。
という事で、燃料カットソレノイドに十分な電圧が加わっていないという事を疑った。
ソレノイドが半開きという事のようだ。
修理
燃料カットソレノイドにつながる銅線を取り外し、接点に銅製のワッシャーを半田付け。
もともと、ケーブルを接点に巻きつけナットで固定していただけ。
写真真ん中の接点が今回の修理箇所、燃料カットソレノイド
これで、かなり電気が流れやすくなったはずだ。
さらに両接点を十分細かなやすりで表面の錆を取り除き、アルコールで洗浄。
最後に元通りに組みなおした。
組みなおしてからテストしてみると、思った通り、燃料カットソレノイドに、今までは十分な電圧が行っていなかった事が定かとなった。
キーを挿し、スターターモーターの回る手前、エンジンのオペレーションポジションにひねると、今まで聞こえていなかった「カチッ!」という音が聞こえるようになった。
キーを戻しても再び「カチッ!」という音。
燃料カットソレノイドスイッチが気持ちよく、力強く動くようになったという事だろう。
今までは、十分な電流が流れず、ソレノイドが半開きだったようだ。
接点を修復して、かかりずらかったエンジンも、気持ちよく始動するようになった。
上の写真を見て気が付いたのだが、ポジティブ(+)がこんなにむき出しになっているのは危険だ。
という事で、その後、ポジティブ(+)部分をテープでショート防止策を行なった。
この作業を行って、かなり調子が良くなったのだが、まだ時々かかりずらい。
かかりずらい要因は複合的に、いろいろなものが絡み合っているようだ。
一つ一つ直して行くごとに調子が良くなっていく。
ソレノイドの動きが悪いと感じたら、交換する前に、一度ケーブルに断線、接触不良箇所がない事を確認。
さらに、何度も作動を繰り返してみる事をオススメする。
9、フュエルラインの問題
このランクル75トゥルーピー、燃料タンクが前後2個搭載されている。
どちらも容量90リットル、合計すると180リットル。
満タンにすると、燃料補給の出来ない奥地のかなりな奥深くまでドライブする事が出来る。
これもまた、アフリカ、オーストラリアで、愛され続ける理由の一つだろう。
症状
上に記した修理を全て行なっても、まだ時々ではあるが、エンジンがスタートしにくい。
燃料が十分にインジェクターポンプに届きにくい原因がある事を疑った。
原因
残りの問題として考えられるのは、フュエルライン。
エンジンスタートの問題を完全に解決するために、フュエルラインを確認する事にした。
この75トゥルーピー、前記したように燃料タンクが2個搭載されている。
燃料タンクが2つある事によって、フュエルラインの途中にT字の分岐点があり多少複雑な構造をしている。
75トゥルーピー燃料ラインの分岐点
燃料タンクからエンジンへと行くラインと、エンジンから燃料タンクに戻って行くラインの両方にT字の分岐があり、前後それぞれの燃料タンクにつながっている。
その両分岐、運転席側からスイッチで切り替え出来る仕組み、ソレノイドが燃料の流路を切り替える構造になっている。
2個のソレノイドは一緒に作動し、使われなかった燃料は元来たタンクに戻る構造になっている。
そういえば、時々使っていない燃料タンクの燃料が増えたりしたりしてたのは、このソレノイドスイッチの作動不良で説明が付くな。
運転席側からコントロールされるこの流路、電源がOFFの状態で、前のメインタンクを使用、ONでソレノイドに電流が流れると、後ろのサブタンクへと切り換わる。
車の下にもぐりこみ、妻に燃料タンク切り替えスイッチを操作してもらうと、一つのスイッチが作動不良を起こしている事が分かった。
一つ、エンジンから燃料タンクへ流れるスイッチはかろうじて音がしているのだが、もう一方、燃料タンクからエンジンに向かうラインのスイッチ、全く音がしない。
あまり切り替えないこのスイッチ、使わないうちに動きが悪くなってしまったようだ。
修理
取り外して、点検修理しようとしたが、パイプが固着していて取り外せない。
付け根はプラスチック製なので、無理に力をかければ簡単に割れてしまう。
なおかつ値の張る部品、無理して壊すわけにもいかない。
という事で、取り外すのはあきらめ、だめもとで運転席側から何度もON、OFFをしばらく繰り返してみる事にした。
この動作を何十回、何百回と繰り返すうちに、作動音がだんだんと大きくなっていった。
最終的には、燃料タンクの切り替え操作をすると、運転席からでもかなりな音で「カチッ!」と足元から聞こえるようになった。
「これで大丈夫だろう!」という事で。
エンジンをスタートしてみると、気持ちよく、スターターモーターを半回転回すだけで、かかってくれた。
この原因は、燃料切り替えソレノイドの動きが悪くなり、スイッチが中途半端なところで止まり、燃料の流れが悪くなっていたのだろう。
再発防止策
ソレノイド、電動スイッチはずっと動かさずにいると固着してしまう事も。
ソレノイドスイッチを時々、作動さしてあげるだけで、そんな固着も防ぐ事が出来るだろう。
電動で動く、デフロックのソレノイドスイッチなんかも、時々こんな風に動かしてあげると固着するトラブルも防ぐ事が出来るだろう。
10、まだ残る不具合
その後、再び燃料が途切れ、インジェクターポンプがエアをかむ症状が現われた。
愛車にはまだ、燃料ラインに問題が残っていたのである。
いろいろな原因が複合して、不具合を起こしていたのであった。
いくつの問題が絡み合っていたの?
この症状、原因と対策については、長くなってしまったので次のブログで取り上げる事にする。
その後、これらの対策を行なって、完璧なまでのエンジンスタートをするようになったのである。
今度こそ本当かい?
何度目の正直?
妻には冷たい目でにらまれるのであった。
その事については、次のブログ、エンジンスタート、トラブルシューティング、その2、燃料ライン(ランクル75 1HZ 4200cc ディーゼル)をご覧ください。
■
という事で、今回はエンジンの始動についてとりあげました。
こんな修理の経験を繰り返しているうちに、愛車の性質や、その声も聞こえてくるようになり、ますます愛着が湧いてくるのでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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