修理は自分でするべし
2020年10月28日に加筆修正しました。
マサイマラにて
この車に乗り始めて今年2014年で12年目に突入する。
この1991年製のランドクルーザーは、ブッシュの中では非常にパワフルで、とても頼もしい僕の相棒である。
今日に至るまで、この車にはいろいろと教えられた。
2002年の購入時、もちろん中古だが、当時、僕自身車の事について何も知らなかった。
なので、何か小さなことでも調子が悪くなる度に地元のガレージに直しに出していた。
今思うと、非常に恐ろしい事だったと思う。
ガレージに出して修理してもらってもなぜか完全には直らない、直るどころかだんだん調子が悪くなっていく。
メカニックが僕の無知に付け込んで、あえて直らないように修理しているのでないかと疑い、いくつかガレージを変えるが結果は同様だった。
そんな時、ランドクルーザーの修理マニュアルを書店で見つけて購入する。
今でも重宝している、ランクルマニュアル
初めのうちはマニュアルを読んでも工具も無ければ修理の知識も無い。
だから、とりあえずはメカニックの作業をマニュアルを見ながら観察し、彼らの作業の何が悪かったのか確認しつつテクニックを吸収していく。
それから少しずつ工具を買いそろえながら自分で作業をするようになっていった。
今では溶接を除き、大抵の事は自分で修理するようになった。溶接もやってみたいけれど、カメラマンとして大事な目を守るためには、止むえず。
車の中には取り揃えた工具や部品(過去の修理で必要だった、ナット、ボルト、スタッド、電気ケーブル、ベルト類、ブッシュ、シリコンシール)などを常備し、万が一ブッシュの中で車に何かトラブルがあっても大抵の事には対応可能だ。
自分で修理をするようになって以来だんだん車の調子は良くなっていき、壊れる事も少なくなっていった。
今では購入時よりも調子がいい。
いろいろと修理していくうちに運転するよりも、車をいじっているほうが楽しくなってしまった。
いろいろと手がかかった分、今日ではこの車にはすごく愛着を持っている。
今思い返すと、いかに現地のメカニックが真面目に仕事をしていなかったかよくわかる。
中にはちゃんと作業するところもあるらしいが、残念ながら僕は、今だめぐり合えていない。(その後、凄腕のメカニックに何人か出会った。常に向上心を持って作業をし常に腕を上げていく連中だ。)
今までの悪い修理の例をいくつかあげてみる。
まず、スプリングブッシュの交換などはバールなどを使って力ずくで入れるからグニャッとゆがんだまま入っていたりした事があった。
ブッシュが入るべく場所に、まっすぐちゃんと入っていないのだ。
無理やり入れたので、ブッシュの一部が外側にグニャっとはみ出ている状態。
タイロッドエンドを取り外すのもでかいハンマーでたたきはずすのでボコボコになる、さらにグリスも付けずに、ロッドにねじ込むので、タイロッドエンドが固着してアライメントの調整も出来なくなった事がある。
自分自身で作業をすれば、後々の事を考え、グリスアップは怠らない。
その場ではすぐ、作業は終わるが後々痛い目にあう。
この時はパイプレンチにジャッキを嚙まして、少しずつ何とかはずす事が出来た。
最初、タイロッドエンドをはずそうと使った中国製の小さなパイプレンチはゆがんで壊れてしまった、そのためにちょっと大き目のまともなパイプレンチを購入し作業する。
それでも最初、レンチの歯が欠けた。タイロッドエンドをはずすだけで半日がつぶれた。
ちょっとでも、グリスを付けさえしていれば、こんな苦労せず済んでいたものを。「急がば回れ」、現地の言葉で「ポレポレ、ンディヨ、ムエンド」である。
それがなかなか出来ない、というか急いでいるわけでもないのに、なぜか手を抜く癖があるようだ。
ナットもボルトもトルクレンチなど使わず力ずくで締め付けるのが普通で、配線なども適当に皮膜をくりぬいて直結させたりしてしまう。
以前運転中に、霧が出て雨が降ってきて視界が悪くなったのでライトを点灯すると、ダッシュボードから煙が出た事がある。
原因は、ローカルの配線氏に直前に配線の修理をしてもらったのだが、テールランプ関連、ヒューズを通すとすぐにヒューズが切れる状態だった。
そんな彼は、ヒューズを通さずに適当なポジティブワイヤーの皮膜をえぐって、テールライトシステムに直結していた。
ショートの原因を直さずにだ。
そのシステムの一部の皮膜が破れ、ボディに触れショートしていたのだが。
ヒューズが無い状態で、ショートすればどうなるか分かっているのだろうか?
幸い大事には至らなかったが、テールランプ関連の配線の皮膜は全て溶けてしまった。
これはマサイマラに行く途中で、到着後、マサイマラのキャンプで夜な夜な原因を見つけて修理した。
この案件以来、配線関連は人に触らせないように、全て自分で作業を行っている。
また、配線や、プラスチック、ゴム部品が近くにあるにもかかわらず、防御策をせず溶接したりもする。「ボディの後ろで何か燃えているぞ!」
知らないうちは平気だったけれど、いろいろ知ってしまうと怖くてガレージに車を預けられなくなってしまった。こちらの国では、ガレージに修理に出す時は四六時中監視していなければ安心出来ない。
この車はサファリ使用で、天井部分が完全に開くようにしてある。
運転席上部と、後部座席部分をくり抜き、オープンに出来るよう改造し、サファリツアーでも使用可能になっている。
カメラ雲台も6ヶ所取り付け出来るようにしてある。
パンク修理の出来ない奥地用に、スペアタイヤは2本。
また、万が一サファリ中にスプリングが折れた時のため、前後輪用のスペアスプリングとハイリフトジャッキをバンパー前に常備。
上部のライトは雨降り時のブッシュや森の中での夜間走行用、夜間の動物や、野鳥観察などにも重宝する。リバースライトも明るくよく見えるのものを付け足す。
「これは通れないぞ!」と、ぬかるみなどを引き返す際重宝する。
バッテリーは2本に増設、インバーターを使ってのバッテリー上がりの心配を解消する。
現場で夜間、電気を使う作業でも、心配になって夜な夜なエンジンをかけたりする事無く、安心して作業に没頭出来る。
オルタネーターも壊れたついでに大きめのものに変更。
最近は、エンジンのバルブクリアランスの調整をした、エンジン音が良く回転もスムーズになりよりパワフルになった。
現在右リアのスプリングがへたってきたので近々スペアと交換してみようと思案中である。
道は悪いほど運転は楽しい。だから日本にいる時は、この車で悪路を走るのがとても恋しくなる。
このランドクルーザー70シリーズは、とにかく無駄な機能が無く美しい。
ブッシュの中で、特にその信頼性が追求されている車だ。
その中でもとりわけ僕は、前輪のリジッドアクスル、板バネの四駆システムに、とりわけ惚れ込んでいる。
無駄な部品が無く、単純、最強の美しさ、いつも思わず覗き込んでしまい、見るたびに惚れ惚れしてしまう。
車重がちょっと重いので、ランドローバー110などと比べると、ぬかるみにはちょっと弱い点もあるけれど、
悪路での乗り心地、走破性、感触も最高である。
さて、今度は相棒にどこに連れて行ってもらうか。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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