オオタカの日記も後半、終わりに近づいてきたので、ここでいったん昔話をします。
昔アップしたブログ「星空を求めて・・・」のつづきを書こうとしたらレンズレビューになってしまいました。
タムロン社製の当時の新レンズ15-30mm f/2.8 DI VC USD G2を紹介します。
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記憶が薄れ、消えていく前に、
この前の星見の続き。
と、一昨年の11月に書き始めようとした記事。
今では大昔の事となってしまった。
以前ブログで紹介したのは、若者若干名含めたおっさん一同が群馬県の空の暗い場所へと星を見に行ったというもの。
それも大雨の降りしきる中の強行軍。
当日、夜中過ぎまでぱらぱらと雨が降ったり止んだりと一向に雲は晴れなかったが、おっさんたちの「ハレローや!」と、念が通じたのか、ふだんの行いが良かったのか(それは無いか)夜中をまわって2時半ぐらいから雲が切れはじめ、星空が姿を現し始めた。その後雲は完全に消え失せ快晴となり、夜空には満天の星空が広がった。
下にはその時(3:19~3:46)に撮影した星空をタイムラプスムービーにしたものを掲載した。
おっさんたち一同はこの間、レンズを星空に向けたカメラのシャッターを無我夢中で空が明るくなるまで切まくるのであった。
タムロン新レンズ、最広角側の15mm、絞り開放f/2.8での撮影。
冬の大三角、右下には1783年に大噴火を起こした浅間山が見える
記事を書いていて長くなってしまったので。
ここから先はタムロンの新しいレンズの使用感について書く事にしました。
カメラ好きの方だけお読みいただければと思います。それ以外の方は、次の記事へとお進みください。
管理人自身の独断と偏見の辛口評価になります。
タムロンから当時出たばかりの超広角レンズ、15-30mm f/2.8 DI VC USD G2 この焦点距離のレンズではタムロン社2代目のレンズとなる。ニコン用が発売されたのは2018年の9月、この2ヶ月前に発売されたばかりのレンズだ。
初代のレンズも以前ちょっとだけ使った事があった。シャープできれいに像を結んでくれるレンズだったのだがオートフォーカスでは前ピンになったり後ピンになったりして、なかなかガチピンには決まらず、手振れ補正もOFFにしたほうがブレが少なくシャープな画質が得られるという、手振れ補正の効果のほども疑わしかった。なので前機に関しては、あまりいい印象は持っていなかったのだ。この当時貸してもらったレンズが単にはずれレンズだったのかもしれないが。
この2世代目のレンズ、使わせてもらう事によって初代レンズとは比べようも無いほどに大きく進化をとげたレンズとなっている事を思い知った。
最初はコーティングを改め光学系は初代と変わらないと聞いていたので、初代のレンズの市場価格もかなり下がっていた事もあり、初代のモデルでいいじゃないかと思ったりしたが、実際使ってみてその印象は大きく変わるのであった。
まずオートフォーカスの精度、一眼で苦手とする広角、それも超広角でのオートフォーカス、音も無く高速でバシバシがっちり決まる。普段使っているニコン純正の24-70mmよりも高確率で合焦、それも15-30mmの全領域でである。使用しているニコンの24-70mmは一世代前の手振れ補正の無いタイプ、新宿のニコンサービスセンターで点検調整してもらったばかりに関わらずだ。ニコンが新しい24-70mmを出した時にフォーカス精度が向上したと謳っていたが、裏返せば前世代モデルはフォーカス精度が悪かったという事を自ら認めたという事になる。そうだったのか。
さらに手振れ補正に関してもがっちり決まる!それも、かなりな確率で手持ちでは到底無理な1/4秒とかでもがちっと決まってくれる。
「広角レンズ、別に手振れ補正必要ないんじゃん!」と思っていたが、ここまでスローシャッターで手持ちが出来るとなると話が違ってくる。
質感も初代のプラプラした安っぽさは全く無くなった。金属表面は高級塗装で覆われ、高級レンズとしてのオーラを十分にかもし出すのであった。ただこの高級塗装、後で述べるが欠点もあった。
ズームの焦点距離目盛りは掘り込まれているわけでもなく表面に印刷されているだけ。これではハードに使っていては何年と経たずにこすれ落ち消えてしまうだろう。使いつぶさず、飽きたらすぐ売るつもりで購入する人はパーマセルテープなどでカバーし、その上にメモリをつけたほうがいいかもしれない。
レンズを中古屋へ売ろうかと、テープを剥がし、そのべたべたとを剥がす時に一緒に印刷も剥がれてしまっては本末転倒になってしまうので気をつけなければならない。ただ、ここらへん一般の人が普通に使う分には問題ないのかな。管理人はどうしてもサバンナや、ジャングルでハードに使いまわすという事を目安にしてしまう。カメラバッグの中で毎日、車の振動や、背負ったバッグの中で常に揉み解されるイメージ。こりゃ塗装剥げるはな。
でも、数十年前のマニュアルレンズ、こんな状況下で使用数十年使用しても、びくともしない、距離目盛りはもとより製造番号まで掘り込みがなされているのだ。最近の機種は製造番号は大抵印刷されているが、シールが貼られているだけのモデルもあるのだ。また、昔のレンズのフォーカスリングのゴムの部分の耐久性には目を見張るものがある、最近のレンズは数年でフニャフニャになって交換する必要が生じるのに対して、数十年経っても多少硬くなる程度で全く平気。何か今では使えないような悪い材料とか使っていたのだろうか?
この15-30mmレンズ、距離目盛が省略されていないのは非常にありがたい。いま時のレンズ、コスト削減なのかデザインのためなのか、距離目盛が省略されフォーカスリングが無限に回るモデルがけっこうある中これにはなかなか好感が持てる。
利点を挙げると、超広角レンズ、ピントの合う範囲が広いので、オートフォーカスなど使わずにパンフォーカスで撮ったほうがずっと安心という事も多々あり、失敗も少なくなる。そういった状況下でも安心してパンフォーカス撮影が出来る。
さらに距離目盛があるので、三脚などに固定して撮影する時、上から目盛りを見るだけで現在のレンズのフォーカス状況がすぐに把握出来るので、撮影している時の安心感が全く違う。星空撮影でもこの目盛り結構重宝するのだ。
また、距離目盛りは透明カバーで覆われているので擦り切れて消える事は無く安心だ。
ただこの透明カバーで覆う方式の欠点もある。外にある目印と、距離目盛の間に若干の距離があるために、見る角度によって値が微妙に変化して見え厳密な距離設定には使用出来ない。メモリはシールが貼り付けられているだけというものもけっこうあったりする。
今でも愛用するニコンのマニュアルレンズ50mm f/1.2 細かく掘り込まれた距離目盛、撮影時非常に重宝する。とにかく写りも今時のレンズと違い、ずっしりと渋い絵を吐き出してくれる大好きな愛用レンズのひとつだ。
話はそれたが、ズームレンズ、焦点距離を変化させればピントも再調整しなければならないのでそこまでの厳密さは全く必要ないのだが。
全てが自動化され、動画ですらオートフォーカスがスピードも精度もマニュアルを越えつつある今、そこまで気にする人は一握りに過ぎないのだろう。ということでそういう人間は変わり者扱いされ、排他される事になるのだろう。物売り促進ための常套手段だ。
けっこう、何年か経つと今度は距離目盛が付いていると売り文句に使ってきたりもするのだが。絞りリングもその一例だ。
焦点距離領域は広角側が15mmという超広角にもかかわらず望遠端は30mmと2倍のズーム比。30mmとなれば標準レンズとしても使え、この一本だけで結構何でも撮れてしまう。広角側の2倍は望遠側の2倍のとは全く違い、その視覚的変化は非常に大きく感じるのだ。
今回、使わせてもらって、その魅力は十二分に感じる事が出来た。
話が長くなってしまったが、とりあえず実写性能を見ていく事にする。
旧信越本線の、26あるトンネルのひとつ
太陽を視野に入れてゴーストの発生を見てみる。
とんでもない輝度差の悪条件、レンズをいじめるような条件だ。
こうやって撮ると、なかなか、きれいなレンズ郡の反射が像を結んだ。
ゴーストの色は揃って緑色。
赤、青、黄色に分かれたらもっときれいなのだが。?
上の作例、絞りはf/5を使用している。
このゴーストの出方、アフターエフェクト等の動画編集アプリのレンズ効果プリセットに出てきそうなゴーストだ。
典型的な優秀なゴーストだという事だろう。(笑)
このレンズ、開放から周辺端まできれいに焦点を結んでくれるのだが、太陽のような高輝度の被写体が視野に入ると画面はゴーストでお祭り騒ぎ。ただバックがこのように真っ黒になるようなとんでもない悪条件でなければそう目立つものでも無さそうだ。上の写真を見ると、この状況下でトンネルの中まで結構なトーンを出してくれている、太陽の周辺の高輝度白とび部分もそれほど大きくならず、フレアも少なく、抜けも、コントラストも程よく、優秀なレンズだという事がうかがえる。
でも、やはりここまでゴーストが出てしまうとなると太陽を入れての撮影にはちょっと不向きかもしれない。
太陽を画面のちょっと外側に配置して同じトンネルを15mmで撮影
今度は太陽を画面の外側にして撮影してみた。
15mm、前の写真と同様絞りはf/5での撮影。でもやはりゴーストは出る。輝度差が大きくなるような逆光条件にはあまり向かないのかな。この写真も絞りはf/5を使用。太陽のある位置の対角線上、画面右下にはゴーストのお花畑が現われた。レンズフードは内臓のタイプ。前に出っ張ったレンズに太陽の光が当たっているのだろう。ハレ切りするにも超広角なので、すぐにばれてしまうので手持ちではかなり難しい。
もっと絞ればゴーストの形も小さく絞られると思われる。
このレンズ、順光であればものすごく良く写ってくれ、撮り比べるまでもないのでレンズの粗と味がよく分かる、逆光の作例ばかりになってしまいます。
条件変わって輝度差が少なくなると、ゴーストはほとんど目立たなくなった 20mm f/8
上の写真、焦点距離は20mm、輝度差が少なくなるとゴーストの発生はほとんど目立たなくなった。紅葉の葉は太陽の光を受けて輝いているので発生しているゴーストよりも明るくなり、ゴーストが見えなくなったという事だ。
幽霊が暗いところで良く見られ、昼間は殆ど見られなくなるのと同じ原理。名前もゴースト、お化け(幽霊)だ、昼間は見えないだけでいるという事になもる。
レンズ内の円形絞りの微妙な歪みからか、太陽の周辺には日章旗のような広めの光芒が広がった。
最後にボケ味の確認。
焦点距離15mmで絞りはf/6.3でもみじの落ち葉を撮影。ピントは手前のもみじに合っている。
ピントの合った部分から徐々にピントがボケていく部分を見て頂きたい。
後ろにいくに従い徐々にボケていき一番後ろには森の木々。
ピントのボケ初めは自然な感じだが大きくボケる周辺部分は。放射状にボケが細長く伸びている様子が分かる。
とりあえず長くなったのでここら辺でまとめといたします。
今回このレンズを使わせてもらっての感想、
シャドーのトーンもつぶれず微妙なトーンも出してくれる。コントラストも程よくカリカリになる事も無く、メリハリが出て、非常にシャープないいレンズ。長いな。
超広角とありf2.8と明るく開放から十分使えるので、星野写真、星景写真では強い武器となる。
逆光で撮影する時は注意が必要ではあるが。
オートフォーカスも非常に優秀で、オートフォーカスに任せきっても、ピントに関してはほとんど失敗することが無い。
手振れ補正もまた非常に優秀で今まで手持ちでは不可能だったスローシャッターでの撮影を手持ちで可能とした。
総合すると誰でも簡単にピントが合ったシャープな写真が撮れる良いレンズに仕上がっている。
このレンズの最も改善して欲しい点は、レンズにつかみどころを付けるという事。
表面の高級塗装はつるつるで滑りやすく、デザイン的に突起物もほとんど無いので、レンズ自体ほとんどつかみどころが無い。それに加えゴムローレットのズームリング、フォーカスリングと共に、滑り止めも縦線しか入っておらず、レンズを縦に持つと、するりと滑り落ちる構造。
デザイン的に見てくれはいいかもしれないが、レンズ交換をする時は落としてしまいそうな恐怖感が常に付きまとう。
ニコンやキャノンのレンズ、特に高級レンズが梨地になっている理由がこのすべすべレンズを使う事によってよーく理解出来るのであった。
一眼レンズは、交換レンズといわれるだけ合って交換するもの、その交換のしやすさも性能の一つに入るのだ。
もうひとつは手振れ補正とオートフォーカスの二つのスイッチ。
カメラバッグからレンズを取り出す際ひっかかってスイッチが思わぬ設定に切り替わってしまう事が多々発生。
使用していても、何かの拍子に簡単に切り替わってしまう。
スイッチの形もそれぞれ同じなので、使い慣れろといわれればそれまでになってしまうが、手探りでどれがどのスイッチか分かるようになればありがたい。
簡単に切り替わってしまうスイッチに関しては形と硬さの改善が望まれる。
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独断と偏見で、勝手な事を書き連ねてしまいましたが、ブログ名「勝手気まま」という事でお許しください。
今後、こんな感じで他のレンズについても取り上げようかと思っています。
トンネルめぐりをした話は、次のブログに掲載する事に致しますので、よろしくお願いします。
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