毎年8月12日前後に、夜空を賑わせてくれる流星群。
ナイロビの夜空で観測を試みた事についてご報告します。
ペルセウス座流星群なのに、太陽の写真。
それは全く晴れなかったから。
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8月12日は、ペルセウス座流星群の極大日。
最も多くの流星が見られるはずの日だったのだが、極大日をはさんだ3日間、ナイロビの空は、夜間を徹して見事に厚い雲に覆われた。
寝ている間にも、空にタイムラプス動画を仕掛けてみたが、夜を徹して雲は分厚く、ほんの一瞬たりとも晴れる瞬間も無いほどの状況だった。
という事で、このペルセウス座流星群の極大日をはさんだ3日間、1個の流星も見られずじまいという結果に終わってしまった。
極大日の数日前に、ペルセウス座流星群由来の流星は結構数多く見られていたのと、月の条件も悪くなかったので、残念に感じたのであった。
最近雲が多いな、と思うこのごろ
ここの所とにかく雲が多い、太陽活動の弱体化による宇宙線の増加とそれによる雲の増加、まんざら嘘でも無いとかんじたり。
今回、このブログでは流星の写真を載せるつもりでいたのだが、まるっきり撮れなかったので、エネルギーの源、母なる太陽について取り上げる事にした。
地球に降り注ぐエネルギーのほとんど全ては太陽からのもの。
石油や天然ガスに関しても、元をただせばはるかな昔に、地球上で活動していた生き物たちが太陽エネルギーを元に活動し蓄積してきたエネルギー。
核、原子力エネルギーを除けば、人類の使用しているエネルギーは、元をただせば全て太陽活動によるものといっても過言では無さそうだ。
だから、今回曇った原因も太陽の影響!?と言えなくも無いな。
ちと無理があるか。
地球が太陽から受け取るエネルギーはたったの1時間ばかしで、ここ半世紀に人類が消費したエネルギーに相当するほどだという。
地球上、人類の活動など、たかが知れているという事だろう。
去年、ケニア西部ケリチョに1年滞在した時の事。
5月からケリチョを去る年末まで、ほぼ毎日厚い雲に覆われ、日はほとんど出る事が無く、連日雨が降りつづいた。それも大量に。
雨の多い地方といえど、地元住民は、そんな事は今まで無かったと言う。
こちらのテレビのニュース番組では、いつからいつまでかは知らないが、降水量が例年の4倍といっていた。
この雨量が原因なのか、ケニア各地の湖の数々、かなり水位を上げている。
水没が進むナクル国立公園、旧ゲート(2019年)
そして、今年もケリチョに限らずケニア全土でそんな天候が続いているという。
もしマウンダー極小期のような事が起こるのであれば、誰も体験した事が無いのは当然、400年前の出来事だし。
当時生きていた人は今誰もいない。
太陽黒点
2019年から、しばらくの間、全く黒点が出てこなかった太陽。
以前のブログで、黒点がしばらくぶりに出てきた事を紹介した。
この太陽黒点の活動の変化は、かなり地球環境に影響を与えているようだ。
太陽黒点が無くなると、地球は寒冷化していくという事は、ずっと昔から経験上、知られている事実。
黒点が出てこないと、地球環境もいろいろとやばい事になってしまうらしい。
400年前にあったマウンダー極小期は、70年の間ほとんど黒点が出てこなかった期間。
その間、日本は多くの冷害と、飢饉に見舞われた。
世界的にも、ロンドンのテムズ川が氷結し、氷上には露店が並んで賑わうほどの、川にはぶ厚い氷がはったそうな。
マウンダー極小期のような太陽活動が長期間非常に弱まる状態、黒点が殆ど出てこない状態は、だいたい400年周期に起こるそうだ。
南極に分厚く積もる氷のデータから、それ以前にも何度も起こっていたという。
そして、そのマウンダー極小期、長期間黒点が出てこない時期が始まる前の太陽の活動周期は普段の11年に対して、13年に延びるという。
そして、今の状況。
太陽活動周期の第24期は2008年に始まり12年経つ今でもまだ第25期が始まっていない。
さらには第24期の活動も、90年ぶりの低調ぶりに加え、現在、マウンダー極小期から400年が経過。
(後々、ちゃんと調べてみると、第24期は2019年の12月に終わり、第25期が始まったというが、2020年11月現在も活動は非常に低調しているようだ。)
いろいろと合致しすぎで、ちょっと怖く感じる。
久々に現われた黒点が裏側に回り見えなくなる頃、2個目の黒点グループが出てきた。
極々小さな黒点は、他にも発生、記録されていると思われる。
(いつもの事ながら管理人自身の観測に基づいた情報を伝えております。詳細は、天文台等の情報を参照して下さい。)
ただ、太陽活動は活発とはいえず、発生しているものも小さな小さな黒点ばかり。
8月10日の太陽黒点
北半球、真ん中ちょっと右に二つの小さな黒点
上の黒点は前回の黒点が太陽の裏側に消える頃に新しく出てきた黒点。
太陽全体から比べると、点状にしか見えず、そのサイズは非常に小さなもの。
非常に小さく分かりにくいので、下に拡大したものを掲載した。
小さな黒点が2つ並んでいる
太陽全体からすると非常に小さな黒点。
小さく見えても、そのサイズを地球と比べると、それなりの大きさがある事が分かる。
アフリカ大陸よりも大きそうだ。
地球磁場の恩恵
黒点が少なく太陽が穏やかという事は、太陽磁場も弱く宇宙に噴出される太陽風も穏やかという事。
太陽活動が活発になると、強い太陽フレアも頻繁に発生する。
そんな強い太陽フレアが地球に直撃すると、通信障害(デリンジャー現象)や電子機器に被害を及ぼしたりする。
現在の太陽活動が弱まっている間は、そんな心配はあまり無いという事にはなるのだろう。
直撃といっても地球には磁場があるおかげで、電荷を帯びた太陽風の直撃を受けずに済んでいる。
地球に向けて飛んできた太陽風の電化を帯びた粒子は地球の磁気バリアーによって大きく迂回し、エネルギーが弱められた状態で地球にやってくる。
地球磁場の磁力線を辿って迂回してやってくる太陽風は北極や南極周辺へ、オーロラとして目に見える形で現われる。
安泰ではない地球磁場
太陽風から地球を守ってくれている地球の磁場、ずっと安泰であるわけでも無さそうだ。
誰もが知ているように、地球は大きな磁石。
北極がS極、南極がN極の大きな棒磁石で、方位磁石を使えばN極が北を示し、方角を知る事が出来る。
でも、地球は永久磁石ではなく、大きな電磁石。(諸説あります)
その、磁力の源は地殻の下、高温高圧でさらさらに溶けた鉄が、地球の地下深くを対流する事によって電流が発生。
電流が発生する事によって、磁場が発生するという仕組みだ。
原因は定かでないようだが、地球磁場は20万年から30万年の周期で逆転を繰り返してきた歴史があるそうな。
方位磁石の北を指す方角をずっと辿っていくと、最終的に辿り着くのが北磁極。
この北磁極の位置は毎日少しずつ移動しているそうな。
最近、その北磁極の位置が、過去に無いほどにスピードを上げ移動しているという。
過去に無いといっても、人類が計測を開始してからという、天文学的には計り知れない短い期間。
その速度、およそ年間55キロメートルとか。
地下深くの、鉄を含んだマグマの流れが変化しているのだろうか?
そして、ここ100年の間に地球磁場は6パーセントも弱まったという。
赤道付近は、極と比べると磁場が弱いのだが、そんな赤道付近に磁場がほとんどなくなる程に、磁場が弱まっている場所も最近観測されているという。
さらには最近70万年間の間は、地球磁場の反転は起こってはいないそうだ。
もしかしたら磁極の反転は、すでに始まってるのかもしれない。
生命が存在できる奇跡
太陽風、宇宙線、地球磁場の変化、などなど。
地球上の生き物に対する、数々の脅威や恩恵、そんな事を知れば知るほど、地球に生命が安定していられるのは、全てのバランス、奇跡の賜物のように感じてくる。
今後起こるべく地球磁場の反転の時、そんな生命を守るバリアである地球磁場が失われた時に、強力な太陽フレアが地球に直撃したらどうなってしまうのだろう?
電荷と質量を持った太陽風、巨大太陽フレアがダイレクトに地球大気に吹き付ける事になる。
結構恐ろしい事が起こりそうだ。
人工衛星全てダウン、という事もあるかもしれない。
また、地球磁場の反転には1000年ほどの期間がかかるそうな。
1000年を地球の北極から南極までのだいたいの20000キロで割ると、年間20キロで移動する計算になる。
こんな妄想をしていると、いつもの事ながら人類と宇宙のタイムスケールの違いを思い知らされる。
そんな危険と思われる現象も、地球上長い間に生きてきた生命にとっては何度も経験してきた事実。生命が死滅する事は無いにしろ、何か大きな変化の時になりそうだ。
でも、科学技術、文明に囚われた人類にとっては全く未知の体験、
そんな事が、もし現在起こったら文明にも何かしらダメージを与える事になるのだろう。
果たして人類文明、そんな危機、無事に乗り越える事は出来るだろうか?
人類文明的にも、大きな変化の時にもなりそうだ。
太陽風と宇宙線
以前のブログでもご紹介したが、太陽風が無ければいいというわけでもなく、地球は太陽風によって、もっとやばい宇宙線から、地球の環境を生命の住みやすい環境に守ってくれているという。
太陽風とは、太陽から噴出されるあらゆる粒子、電磁波、磁場を全てを総称して言う。
この太陽風、形として見る事が出きる。
それは、彗星が太陽に近づいた時。
彗星が、尾をたなびかせるのも、彗星から噴出されるガスや粒子が、太陽風によって吹き飛ばされる事によって見れる現象。
決して、尾が太陽の方向に吹き付ける事はない。
太陽風は太陽の活動の変化によって、強まったり弱まったり常に変化している。
太陽風が弱まると、この宇宙線が増えてくるという相関関係がある事が知られている。
太陽風は、太陽系の海王星の軌道をさらに超えた外側まで、太陽圏を作り出している。
2018年11月、ボイジャー2号が、そんな太陽風によって作り出された太陽圏を脱出したとの発表があった。
ボイジャー2号に搭載された機器によって、太陽風が急激に衰え、強い宇宙線が急激に増えた事が計測され、その事が分かったのだ。
この太陽風と太陽磁場のおかげで、宇宙のあらゆる方向から大量に降り注ぐ宇宙線を弱め、防いでくれている。
飛んでくる宇宙線、太陽風の速度とは比べ物にならないほどに速度が速く高エネルギーだ。
飛んでくる粒子は太陽風と同じでも、そのエネルギーは比べ物にならないほど高いのである。
太陽風の速度がだいたい秒速500キロメートルぐらいなのに対して、宇宙線は秒速200,000キロメートルを超えるものも。
質量のある粒子、速度の2乗に比例してエネルギーを増していくので、そのエネルギーは太陽風とは比較にならないほどに強い。
この宇宙線のエネルギーを弱め、地球を守ってくれているのが、時々人類活動に悪さをする太陽風なのである。
黒点が消えた太陽
晴れるたびに観測している太陽黒点。
黒点が出てきたので活動が活発になるかと期待していたのだが。
再び黒点ゼロ状態に戻ってしまった。
8月10日に見えていた太陽黒点はしぼんで消えてしまったようだ。
小さな小さな黒点は計測されているかもしれないが、全く見えない。
白斑はいくつか出ているので、黒点が出てきそうな気配はあるのだが。
後日画像を良く見てみると、
小さな黒点があった!
北半球の高緯度付近に小さな黒点。
拡大率を上げた撮影方法
トリプルテレコンによる拡大
太陽撮影には、今までのシステムからさらに2倍テレコン(TC-301)を付け足した。
拡大率を上げた事によって、さらに太陽表面の細部まで写す事が出来るようになった。
新たな合計焦点距離は、300 x 2 x 2 x 1.4 = 1680 mm f22.4
撮影は1絞りで、f31.4
テレコンバーターを重ねているのだが、重ねるためには、マウントの金属部分を若干削る必要がある。
その事についてはそのうち取り上げる予定だ。
改造品になってしまうので、テレコンを中古で売るつもりで使うのであれば、あまりオススメ出来る方法ではない。
さらに、保障対象外の方法にもなるだろう。
言うことを聞かない、悪い人たちにメーカーは保証など適応してくれないのだ。
明るい太陽を減光するためのNDフィルターは、いつもと同様、ND400とND16を重ねて使っている。
ニコン旧サンヨン、トリプルテレコンでもシャープな像を結んでくれる。
改めて、旧サンヨンとテレコンの光学性能の高さに感心するのであった。
太陽の色
カメラにある色の設定、ホワイトバランスは5500K(ケルビン)、デイライト(昼光)とも呼ぶは昼の太陽を基準にした色温度。
だから、デイライト5500Kで昼間の太陽を撮ると、真っ白く写る。
たまに、太陽の本当の色は何色?と聞かれるが、写真に撮った場合は基準にする色によって変わってくる。
デイライトを基準にすれば、5800Kの太陽表面、若干青みがかった白と言えるだろう。
白熱球に合わせて色温度を下げれば青くなり、逆に曇天モード、晴天日陰モードと色温度を上げれば黄色からオレンジ色に変化していく事になる。
太陽の色というものは、基準にする色温度によって変化するので、非常にあやふやなものとも言えそうだ。
そもそも、色温度でいうと、色という概念自体も相対的なものだ。
オススメのホワイトバランス
管理人が選んだ太陽を撮影する時のホワイトバランス設定は、フラッシュ設定。
これがデフォルトで、管理人がイメージする太陽の色を出してくれるので気に入って使っている。
画像の仕上げは、撮影したうち条件のいい写真を選びコンポジットを行っている。
今回は合計14枚。
表面の様子が分かりやすくなるように、トーンカーブでのトーンの調整に加え、シャープ強調処理も行っている。
今回の新しいシステムでの撮影と、後処理によって太陽表面の粒状斑が浮き出て、より細部まで詳細に写り、立体感が増した。
最後に
太陽表面に黒点は出てきているのだが、非常に少なく、小さなものばかり。
その活動状況も、黒点が現れたと思ったら、消えてしまったりと非常に不安定。
まだ太陽活動25期が始まったと言うのは難しそうだ。
というよりも、北半球低緯度の太陽黒点が出ている事から、まだ第24期は終わっていないのだろう。
普段通りであれば、次回第25期の活動期は、南半球の高緯度から出くるはず。
太陽第24活動期が始まったのは2008年、来年の2021年まで第25期が始まらないとその周期は13年という事になってしまう。
そう、マウンダー極小期が始まる前に観測されるのと同様の、13年。
いずれ来るのは間違いないだろうが、マウンダー極小期のような、状況にはなって欲しくないものだ。
そんな先送り概念、原発の使用済み燃料の処理に似てはいないだろうか。
もし今がマウンダー極小期の入口だとすると、最近の天候不順が、これから70年プラスの間、強化しながらずっと続く事になってしまうのだろうか。
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