今回は、前回取り上げたオオタカのその後を取り上げます。
何度も挑戦するが、なかなかうまくいかない狩り
■
猛禽類には人々を魅了する何かがあるようだ。
研ぎ澄まされた敏捷さ、鋭さ、鳥類の頂点に立つにふさわしい、かっこ良さと美しさ。
管理人も魅了された一人で、このオオタカの幼鳥を知ってから、毎日オオタカの姿を見に通っている。
さらに何ヶ月も前の2月に親鳥が交尾を始めた時期から観察、撮影している人たちもいる。
彼らは、このオオタカの繁殖を成功させるために営巣木周囲のバリケードの設置に貢献したり、何度もカラスの襲撃からオオタカを救ってくれたという。
ここまで雛が無事に育ってくれたのも彼らのおかげだと思う、敬意を表したい。
ここは人々が主役の都市部、環境も人々の管理のもと運営されている。
という事で、生態系の土台となる環境を管理介入する事で人々も生態系の一部という事になる。
親鳥が最後に餌を運んできてから4日が過ぎた。
その間、幼鳥の狩りは成功していない。
セミで空腹を凌いでるにしろ、空腹はピークに達しているはずだ。
親鳥がエサを運んできてくれないのであれば、幼鳥は自分で狩りに成功させなければならない。
生き残るためには、この難関をなんとか乗り切らなければならない。
セミ取りは得意になったが、そろそろ食べ飽きた
オオタカは飛んでくるセミをロックオン、しかし、危機を察知したセミは戦闘機のように一気に反転急降下、難を逃れた。
東京都市部であろうとアフリカのサバンナであろうと、食べるものと食べられるものの攻防の下、生態系が形成されている。
どこに行こうと、常に生きるか死ぬかの攻防が繰り広げられている。
自然、野生が美しいのは、この攻防の下で長年常に磨き上げられ続けているからだろう。
常に磨き上げられたものだけが生き残る世界、無駄がなく研ぎ澄まされ美しい。
何を考えているか分からないセミの飛び方一つとっても、そんなたくましさ、を垣間見ることが出来る。
セミ取りはかなり得意になったオオタカの幼鳥だが、今回はうまく逃げ切ったセミに軍配が上がった。
きっとこのセミは子孫を残す事だろう。
初めて自分で狩ったコゲラを貪り食う、4日ぶりのまともな食べ物
その日の夕方、空腹だった幼鳥はやっと狩りに成功した。
何日も餌を運んでこない親鳥の狙いは子を空腹にさせ、なんとしても餌を捕まえなければと思い立たせる事だったのだろう。
狩られたのはコゲラ、自分で鳥を狩ったのはおそらく初めてだ。
この狩りの成功から、幼鳥は親鳥の事を「ピーョ、ピーョ」とあまり呼ばなくなった。
幼鳥はこの狩りの成功で一気に逞しく大人に近づいたようだ。
満月の近い月空の下、オオタカの幼鳥はしばらく電柱の上で佇んだ
日も暮れあたりは暗くなり、夜空に月が昇ってきた。
ねぐらに戻る前に幼鳥はしばらく月空の下で佇み、何か考え事をしているようだった。
「そろそろ遠くへ羽ばたいていこう」とでも考えていたのかもしれない。
追記
オオタカの幼鳥自らコゲラの狩りをしたと書きましたが、誰も狩りをしたところを目撃していない。
もしかしたら親鳥が狩りが出来ずにいる子へ差し入れを持ってきてくれたのかもしれない。
事実はオオタカの幼鳥が小鳥を食べてお腹いっぱいになったという事。
■
つづく
前の記事
次の記事
Comments