8月8日(2017年)の朝に幼鳥が公園を飛び去って以来、1週間ほど経つが幼鳥は戻って来ない。
ずっと誰も幼鳥の姿を見ていないようで、何処へ行ってしまったのか全く分からない。
きっと巣立ちを終えたのだろう。
自らコゲラの狩りを成功させてからは、親鳥を「ピーョ、ピーョ、・・・」と呼ぶ事もほとんど無くなっていた。
巣立つ前の数日間も、少しずつ活動範囲を広げているようで、一度どこかへ飛んでいくと、公園にはなかなか戻ってこなくなっていた。
ほとんど声を出して鳴かなくなっていたので、なかなか見つけにくく、観察、撮影するのも日に日に困難となっていた。
そんな中での幼鳥の巣立ちだ。
オオタカ幼鳥の姿が見られなくなるのはさびしいが、巣立ちの成功はとてもうれしく思う。
みんな、色々とありがとう!無事に巣立てました。
決して広いとはいえない都市公園でのオオタカの繁殖、前例も無く、当初は誰も成功するとは思っていなかったと聞く。
こんな小さな公園でオオタカが繁殖を成功させられたのは、ある意味奇跡的なことだそうだ。
公園に散歩で立ちよる人たちも、オオタカを気にかけていて「今日のオオタカはどうだった?」、「4日もセミしか食べていないのよー、かわいそう!」等々。
カメラマン、バードウォッチャーたちと近隣住民も打ち解け、会話も弾んだ。
カメラマン、公園管理局そして周辺住民の理解に大きく貢献してくれた人達がいたのを知り、その事が今回のオオタカ巣立ち成功にとても大きかったのだとも感じた。
ま、いろいろと、もめ事もあったりしたと聞くが、終わりよければ全て良し!である。
そして、いつの間にか周辺にはオオタカを取り囲むコミュニティーのようなものが自然に出来上がっていた。2月にオオタカが交尾を始めて以来形成されていったのオオタカコミュニティーのようで、このオオタカの繁殖史を把握している人も多い。
都市部でここまで住民の理解が得られ、希少鳥類がうまく育ったケースは珍しいそうで、これから都市での希少生物保護へのモデルケースとなっていけばいいと思う。
オオタカ幼鳥の見せてくれた表情
観察中、オオタカの幼鳥はこんなお茶目な姿も見せてくれた。
セミを捕まえたまでは良かったが、
セミの羽をむしりとっている時に手(足)を滑らせセミを落としてしまった。
「あっちゃ~!! 俺のセミが落ちていく ~!!!」
羽ごと食べてしまえばいいと思うのだが、羽は毎度かなり時間をかけてむしってから食べるのだ。
けっこう、オオタカはセミ食にはこだわるグルメなのだ。
その後にとった表情は。
頭を掻いた、
また、かわいいだけかと思っていた幼い幼鳥、威厳に満ちた表情も見せてくれた。
水浴びを終えたばかりの幼鳥にカラスが近寄ってきた。
羽が濡れているので、今が攻撃のチャンス!とカラスはなめて近寄ってきたようだ。
水浴びをしたばかりで羽がまだ乾ききっていない幼鳥はカラスの危険を知ってか、近寄ってくるカラスを威嚇し追い払った。
水浴び後、近づくカラスを脅し追い払う
以前、母鳥が水浴びした後、ずぶ濡れの状態でカラスに襲われてしまい、母鳥は大きな怪我を負ったと聞く。
そんな記憶が幼鳥の脳裏に残っていたのかもしれない。
こんな表情で向かってこられたカラスは逃げずにはいられないだろう。
羽の濡れていない普段は、カラスを無視出切るほどに威厳を増していた。
カラスの嫌がらせに動じないオオタカ
この公園はもともとカラスの繁殖、憩いの場、カラスにとってオオタカは目障りでしょうがない。
カラスはチャンスさえあればオオタカを嫌がらせ、追い出そうとして来ていた。
オオタカはカラスの嫌がらせにほとんど動じず、無視されるカラスも威厳を失っている感じだ。
オオタカはカラスを狩り殺し食べてしまう事もあるので、カラスは注意深く何度か攻撃をしかけてくる。
でも、かないっこないという威厳のオーラからか、カラスはちょっかいを出すのをやめてどこかに飛び去って行く。
オオタカが巣立ち去った後この場所は、ちょっとの間だけカラスの楽園に戻った。
一時ではあるが楽園を取り戻したカラス達は「カー、カー」「ガー、」「カー」と自由が戻った喜びをいつまでも鳴き交わしていた。
巣立つまで、ほぼ毎日姿を見せてくれて、目の前で色々な表情を見せてくれたオオタカ。
威厳に満ち、時には愛らしい姿を見せてくれたオオタカは多くの人々に見守られとても愛されていた。
オオタカの幼鳥が、巣立ちどこかへ行ってしまってからは、皆、寂しいと口をそろえる。
巣立っていったオオタカ、どこかでたくましく生きていって欲しいものだ。
そして、再びここで繁殖してくれたらとおもう。
管理人にとってはたった1週間の短い期間だが、ファインダー越しに様々な表情を見せてくれたオオタカにはとても愛着が湧いた。
オオタカを通していろんな人に出会えたのもまた、大きな収穫となった。
次回の繁殖は初めから見届けてやろう!そんなふうに画策している。
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おわり
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