「都会に進出した猛禽、オオタカの物語」
このブログでは、2017年7月から2018年12月までの間、都会の公園の中、管理人の目の前で繰り広げられた野生のドラマ、オオタカの生き様を紹介しています。
巣の補修を続けるメス
オオタカが繁殖に選んだ公園の森、その目と鼻の先、すぐ近くに思いがけない住人がやってきました。
今回はその時の様子について取り上げます。
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巣の補修を常に繰り返し、巣がより居心地のいい場所になるようにと常に補修を続けるオオタカのメス。
巣に少しでも気に入らない箇所があったりすると常に形を整え、材料が足りないとみるとすぐに巣材を探しに出かける。
繁殖を成功させるために、巣には特に気を使って万全を期そうとしているのだろう。
ちょっとした事が後々命取りになる事を十分承知しているからこその行動。
オオタカの産卵の準備が整った5月の始め、そのすぐ近くに隣人がやってきた。やってきた隣人は小型の猛禽類、ツミ、こちらも繁殖の準備を始めたところ。
しばらく前からオオタカの周辺を飛び回ったりしてオオタカとその周辺の様子を観察していた。
繁殖場所を探してあちこち偵察していたのだろう。
もちろんツミはここにオオタカがいる事、繁殖を行っている事を百も承知でこの場所を選んだ事になる。
なんでまたこんな場所を選んだのだろう?
一つ考えられるのはカラス。
オオタカに常に追い払われているので、この周辺にはカラスがあまり寄り付かない。
ツミはきっと他の場所にはカラスが多くて繁殖には不向きと判断してこの場所に流れ着いたのだろう。
そう多くない猛禽にとっての繁殖適地、いろいろと思索し、天秤にかけた結果ここが最良の場所という事になったのだろう。
さすがのオオタカも空中戦では敏捷なツミにはかなわない
オオタカもツミが繁殖を始めようとしている事に気づいていたようだ。
オオタカはやってきたツミの様子をうかがいに偵察にやってきた。
ツミはオオタカが近くにやってくると、黙っておらず、小さな体で大きなオオタカを追い払う。
ツミは非常に小柄だが敏捷性で言うとオオタカの更に上をいく。
見ていて、空中戦を行うとほとんどの場合、ツミが優勢になり、オオタカが逃げる形になる。
ツミは鋭いくちばしと爪をもった猛禽類、小さいからといって油断して一撃でも食らったらオオタカもただでは済まない。
横目で様子を見ながら逃げるオオタカ。
森の中にいるツミの近くをさっと飛び去って偵察するオオタカ
オオタカは近くて同じ猛禽類が繁殖を行おうとしている事が気になって仕方ないらしい。
とにかく自分たちの繁殖に危害を及ぼすやつか、そうでないかどうかを確認しようとしているようだ。
オオタカは隙を見てツミがとまっているすぐ近くを通過、オオタカは相手(ツミ)がどんなやつかしっかり観察しようとしている。もちろん偵察の役目はオスだ。
オオタカ、ツミ両猛禽とも肉食でどちらも鳥などを獲物にするのだが、獲物のサイズが一回り違う。
ツミはスズメサイズ、オオタカはハトサイズ。
狙う獲物が違えばお互いえさの事で干渉せず、仲良くとは行かずまでも、お互いテリトリーを重複させる事が出来そうだ。
ツミはつがいでいてペアリングはほぼ決まっているようだが、たまに別のツミが2羽の近くにやって来ようとする。
すると、オスがそいつを追い払う。
まだ、このメスに未練を持ったオスがいるようだ。
巣材を集めるツミ、やり方はオオタカと同じで、地面に落ちた枝は拾わない
ツミの場合、巣材を集めるのはメスの仕事なのかな?
もっぱら巣材を運んでいるのはメス。目が黄色いのですぐにメスだと分かる。
折った枝はすぐに建設中の巣へと運ぶ
体が小さいツミ、大きさはハトぐらいの日本で見られる最小の猛禽類だ。
体が小さいので巣も小さく済み、建設に要する時間も短く、繁殖に要する時間も非常に短く済む。
オオタカが去年の暮れから準備していた繁殖の準備を、オオタカが卵を産む頃になってやってきて、全てを済ませてしまう。
体が小さいのも、大きなメリットがありそうだ。
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つづく
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