「都会に進出した猛禽、オオタカの物語」
このブログでは、2017年7月から2018年12月までの間、都会の公園の中、管理人の目の前で繰り広げられた野生のドラマ、オオタカの生き様を紹介しています。
獲物を独り占めにしようとするが、そう簡単には食べられない
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3羽の幼鳥たちの食欲は旺盛で、獲物の取り合いは日に日に激しさを増していった。
親鳥がエサを運んでくるや否や、兄弟揃って我先にと獲物目掛けて飛んでいく。
最初に獲物に辿り着いた兄弟は、独り占めしてやろうと獲物を持って逃げようとするが、
大きな獲物を丸ごと持ち運べるほど、まだ器用でもなく力も無い。
持ち運べてもすぐ近くの枝までがせいぜい。
せっかく独り占めしようと手にした獲物なのに、すぐに落としてしまった。
解体されていない獲物はそう簡単に食べられるものではなく、大きく重く扱いにもなれていない幼鳥たちは良く落とす。
獲物が落ちて横たわる地面は幼鳥たちにとってまだ未開の地。
獲物が地面に落ちているのは3羽とも知っているのだけれど、なかなか誰も降り立つ勇気が出ないようだ。
それぞれ、誰かが降りたら次に自分が降りようと待っているようだ。
みんな地面がまだ、怖い場所だと思っているのだろう。
何か得体の知れない生き物に襲われるとでも思っているのかもしれない。
地面は飛立つのに大きな力が必要だし、獲物に襲われたら逃げるのが難しい。
このまま放置されていたらカラスなどに横取りされてしまう
この後、しばらくすると意を決したか、3羽の幼鳥は地面に降りたった。
獲物は分割され、3羽はお腹を満たす事が出来た。
皮をさばければ肉がなくなるのはあっという間
最近は羽は抜いてくれているものの、丸ごと運びこまれる獲物。
幼鳥たちは皮を引き裂くのに四苦八苦する事になり、なかなか獲物を食べ始める事が出来ない。
以前父鳥は食べかけの獲物を持って来る事が多かった。もしかしたら子供達が食べやすいようにとの心遣いだったのかな?
最近、獲物はほとんど食べずに首だけをもぎとって丸ごと運び込まれるので、子供達は自分たちで獲物を解体しなければ食事にありつく事が出来ない。
これも、子供達に獲物の解体方法を学ばせるための父鳥の愛情なのかもしれない。
陰ながら父鳥は子供達の成長に合わせて行動を変化させている。
地面でもじゃれあう2羽
地面に降りて、そこに得体の知れない獣などがいない事が分かってくると、地面をエサの破片が落ちていないか散策するようになった。
以前落とした獲物の破片もたまに見つける事が出来る。
初めての狩り?こいつ食べられそうだ
地面には弱って飛びたてなくなったセミや、昆虫類が結構いる。
幼鳥たちは、それら小さな獲物を見つけては小さな狩りを始めた。
地面に落ちた獲物に対してダイブ、狩りの練習のようだ
死んでいる獲物だけれど、生きた獲物を捕らえるようにダイブをしたりもするようになった。
狩人としての血が少しずつ目を覚ましているようだ。
日々学びながら逞しくなっていく3羽の幼鳥。
そして、陰ながら3羽の成長を支える父鳥の愛情を感じるのであった。
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つづく
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