「都会に進出した猛禽、オオタカの物語」
このブログでは、2017年7月から2018年12月までの間、都会の公園の中、管理人の目の前で繰り広げられた野生のドラマ、オオタカの生き様を紹介しています。
恐る恐る川辺に降り立った1羽の幼鳥
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連日、猛暑の日が続いている。
この暑さを感じるのはオオタカにとっても同様のようだ。
親鳥たちはこういった暑い時期、頻繁に水浴びをしていた。
それぞれ、母鳥はオオタカの森の木の洞で水浴び、父鳥は川で水浴びをしていた。
3羽の子供達も、きっと親鳥が水浴びしているところは、幾度と無く見ていた事だろう。
そんな、暑い日の夕暮れ時、
一羽の幼鳥が、水浴びをしようとしてか、川辺のコンクリートの岸に降り立った。
森の地面は今では慣れっこになったオオタカの子供達、今では巣の周辺の地面も子供達の格好の遊び場となった。
でも、まだ川辺には降り立った事がない。
初めてやる事、初めて試す時は「ハラハラドキドキ、」いつも慎重だ。
今回も、3羽のうちの1羽が代表して、この水浴びにチャレンジしようとしているようだ。
いつものように最初にチャレンジするのはいちばん大きな長女のようだ。
2羽の兄弟は姿が見えないが、きっとどこかで長女の行動を観察している事だろう。
岸辺を偵察、水浴びにいい場所を探しているようだ。
岸辺に降り立った幼鳥はゆっくりと川面を観察しながらコンクリートの岸辺をしばらく歩いた。
水浴びするのに良さそうな場所を探しているのだろう。
川面にはカルガモたち、お互いすごく気になってしかたがないようだ
オオタカの幼鳥が岸辺に降り立つと、カルガモたちも「見慣れないやつがやってきた!」と偵察に集まってきた。
カルガモも現在子育て中。
どんなワルが近くをうろついているか、子供達を守るためオスの若い連中が、どんなやつがうろついているのか確認にやってきたのだろう。
カルガモのほうは、しばらくオオタカの幼鳥を観察、「まだ狩りなど出来ない子供だ!」と悟ったようだ。
子供達を守るため、それぞれ生き物たちは必死だ。
最近カラスが幼鳥の近辺に殆どやって来ない。
見えないところでオオタカの父鳥が目を光らせて、子供達に悪さをしそうなカラスを追い払ってくれているのだろう。
3羽の子供達には知る術は無いが、父鳥は遠目に、日に日に自信をつけ成長していく子供達を見守ってくれているのだ。
適当な水浴び場を見つけたようだ
しばらくして、オオタカの幼鳥はカルガモたちを横目に岸辺を飛立った。
水浴びをするための着地場所に目星をつけたのだろう。
着地に選んだ場所は、川辺に砂利がたまり陸地になった場所。
ここだったら岸辺からゆっくりと深くなっている場所なので、水浴びにはもってこいだ。
時刻は夕暮れ時の午後7時過ぎ、既に日は暮れ、空はきれいに真っ赤に染まっている。
川面もその光を反射し、美しく夕焼けの空を反射し輝いている。
カルガモたちとにらめっこ
川辺に降り立つと、カルガモたちが近寄ってきた。
「ここは俺たちの縄張りだから勝手な事はしないで欲しい!」
とでも抗議にやってきたようだ。
オオタカの方はしばらくカルガモの抗議を聞いていたが、
「川はここにあるんだからみんなで使えばいいじゃん!」
「持ち主を主張するのがおかしい!」とでも思ったか、カルガモを無視してゆっくりと川面に足を踏み込んだ。
最初は慎重に水浴びを始めた、体は水浴びの仕方を知っているようで勝手に動く
夕暮れ時といっても今は夏の盛り、まだまだ暑い。
最初は慎重に、足先が浸かる程度の浅い場所でお腹をつけて体を冷やした。
そして、しばらくの間しゃがんだり立ったりを繰り返した。
幼鳥は、初めて浸かる水の冷たさ、心地良さを感じたか、すぐに羽をバシャバシャと動かし水浴びを始めた。
水浴びは初めてでも、体が勝手に動くようだ。
そして、浅い場所では物足りなくなったか少しずつ深いところに移動した。
大胆に頭を完全に水につけて水浴び
だんだん水にも慣れて、水浴びも大胆になって来た。
最終的には頭も水の中にどっぷりとつけて、「バシャバシャ!」
思った以上に、冷たい水が心地良かったのだろう。
再びカルガモたちが登場、今度は「溺れたのか?」と様子を見に来たようだ。
羽の色と模様が似ているし、水に入ってきたので「お前、もしかしたら俺たちの仲間か?」とでも思ってか、そして溺れているようなのでちょっと心配でもしているようだ。
水浴びを終え、寝床へ
バシャバシャ、バシャバシャとしばらく水浴びをして、体のほてりも冷め、汚れも落とし、スッキリ満足したのか、寝床へと家路についた。
そしてこの次の日以降、川辺も3羽のオオタカの子供達の格好の遊び場となるのであった。
セミの鳴き声響く7月13日夕暮れ時の出来事。
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つづく
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