「都会に進出した猛禽、オオタカの物語」
このブログでは、2017年7月から2018年12月までの間、都会の公園の中、管理人の目の前で繰り広げられた野生のドラマ、オオタカの生き様を紹介しています。
追いかけっこしよ!私が鬼ね!
前回はカラスとの追いかけっこについて取り上げました。
今回は、兄弟同士の激しくなって来た追いかけっこについて取り上げます。
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夕方の日の沈む頃にはよく、オオタカの森の周辺で、3羽での飛行演習、追いかけっこが繰り広げられた。
始まりはいつも優雅でゆっくりとしたもの。
夕方の散歩ならぬ散飛、今日は兄弟三羽揃っての飛行
お父さんの夕方の獲物の差し入れで、満足に食事を終え、3羽全員お腹もいっぱい。
「また今日も無事に日が暮れる!」と、兄弟たちはいつものように優雅な飛行を始める。
この日は、兄弟揃ってゆっくりと森の周辺を飛び回った。
でも、優雅でゆっくりとした飛行もそう長くは続かず、だんだんとスピードが上がっていく。
そして、逃げるものと追いかけるものが出来上がり、大抵、鬼ごっこへと進展していく。
これもいつもの事。
飛行の腕を日々上達させているそれぞれの幼鳥は、兄弟に対して「お前、こうやって飛べるか?」と新しく得た急旋回やら急降下、急反転など、自らの飛行技術を自慢げに披露する。
その自信ありげのほうが、「この俺様から逃げられるものなら逃げてみろ!」と兄弟の一羽に逃げる隙を与える。
そして、追いかけっこがいつものように始まるのだ。
追いかけっこでも相手を良く観察する長男
追いかけっこは、幼鳥たちが飛べるようになってから早々に始められていた。
巣立ったばかりの飛ぶ能力が未熟だった頃、兄弟同士での追いかけっこを通した飛行演習は見ていてもほほえましいものだった。
そんな追いかけっこを通じて、急降下や、急旋回、急上昇と、飛行能力を日に日に上達させていった3羽の幼鳥。
すでに単独のカラスであれば、簡単に追い立てられるほどに飛行能力は上達している。
追いかけっこは、幼鳥たちの飛行能力が上達するにしたがって日に日に激しさを増した。
最初のうちは飛行演習だったこの追いかけっこは、日が経つにつれ、狩猟演習の様相、侵入者などの敵の追い払い演習に変化していったのだ。
追いかける側のオニは狩りをするオオタカ役となり、逃げるものを獲物と見立て追いかける。
そして、逃げるほうは獲物役となり死に物狂いで逃げ回る。
「捕まったら殺される!」と。
逃げるほうは急旋回、急降下を繰り返し、どうにかオニから逃げようとする。
オニも逃げられまいと、必死になって逃げ惑う兄弟に喰らい付く。
追いかけっこがクライマックスを迎える頃には、追いかけるほうのオニは、相手が兄弟ではなく獲物と錯覚しているようだ。
逃げ回る兄弟に追いつたオニは、背後から爪を立てて兄弟に一撃を加えようとした。
「オリャーーッ!!!」「しまった追いつかれた!」「やられるー!!!」
オニに追いつかれ後ろを振り返ると、背後に一撃を加えようと差し迫る兄弟!
こんな一撃喰らってしまってはたまったものではない。
逃げるほうは、「オレだよ!俺!、おまえの兄弟!」「参ったから、やめてくれ!」と体を翻した。
われを忘れ追い掛け回していたほうも目を覚ましたようだ。
「やめてくれー!参った、参った!」「お、お前だったのか、スマンスマン!」
勝負あり。
狩りに見立てられた追いかけっこ。
3羽のオオタカの幼鳥は近い将来、自ら狩りをし獲物を捕らえて生きて行かなければならなくなる。
この追いかけっこを通じて、
猛禽として生きていくために絶対に必要な狩りのやり方、
そして、カラス等の敵からの逃げ方や身のかわし方と追い払い方について、
同時に学んでいくのであった。
この追いかけっこ、単なる遊びではなく生きていくための予行演習だったのだ。
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つづく
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