「都会に進出した猛禽、オオタカの物語」
このブログでは、2017年7月から2018年12月までの間、都会の公園の中、管理人の目の前で繰り広げられた野生のドラマ、オオタカの生き様を紹介しています。
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帰ってきたメスのオオタカ
10月のおわり、オオタカの森にメスのオオタカが、しばらくぶりに帰って来た。
7月の初め最後に姿を見てから、3ヵ月半ぶりの事である。
しばらくぶりに見るオオタカのメス。
長い休養の間、メスは換羽を終え療養も十分取ったのだろう。
精気に満ちた羽、そしてその遠くを見据えた輝く眼光。
視線はすでに来年、生まれ育つ子供達に向いているようだ。
3ヶ月前、森から去る寸前の母鳥
今年、前繁殖期、3羽の幼鳥を育て上げた母鳥、繁殖直後には、羽も輝きを失い、くたくたにくたびれ、消耗しきっていた。
ただ、目の輝きは失われつつも、繁殖の役割を終え、無事に子供達を育てたという安堵感をかもし出していた。
7月初め、幼鳥たちが巣立ち、自ら飛び始めるのとほぼ同時期にどこかに飛び去って行った母鳥。その頃から子供達の世話は完全に、父鳥にバトンタッチした。
次の繁殖のため、療養と換羽を完璧に済ませ鋭気を十分に養うための、長い休養だったのだろう。
卵を産むための体作り、きっとオスよりも長い休養期間が必要なのだろう。
戻ってきた完璧なまでに整った羽、メスの体は輝き、眼も次に生まれてくる子供達に向けられている。
どこで休養を取っていたのだろうか?
森にメスが帰って来ると、オスと共に過ごしていた幼鳥も、このまま両親と一緒に森にいすわるわけにはいかなくなった。
その事は幼鳥も十分承知しているようだった。
幼鳥は、メスの頭の上を急降下しかすめて飛んだ
幼鳥は、お母さんオオタカが帰って来たのを知ると、上空から速度をつけお母さんの頭の上をかすめて飛んだ。
あいさつをしに来たのだろうか?
お母さんオオタカは一瞬ひるんだが、特に相手にせず、幼鳥を追いかける事もしなかった。
幼鳥は、まだしばらくお父さんと過ごしたいからなのか、母親を追い出そうとしているようにも見えた。
でも、実際はそうではなかった。
幼鳥はこの接近を最後にどこかに飛び去っていった
幼鳥は、この母鳥への接近を最後にどこかに飛び去り、再び戻ってくる事は無かった。
これが、オオタカの森で、幼鳥の姿を見た最後。
幼鳥は、新天地へと旅立っていったようだ。
短い期間だったが、父子水入らずの期間を楽しむ事が出来たようだ。
幼鳥はすでに、これから両親がここで繁殖する事、ここに自分がいては邪魔な事などを十分に心得ているようだ。
幼鳥の母鳥への接近は、きっと最後のお別れのあいさつだったのだろう。
来年も「生まれてくる、自分たちの兄弟を無事に育てておくれ!」「さようなら!」と。
これから、この幼鳥も、この生まれ育った森から離れ、どこかで自ら生きていかなければならない。
そして、数年後には親鳥がやったように、きっとどこかで繁殖をしていくことになるだろう、兄弟の2羽も同様に。
夫婦水入らずでの飛翔
しばらく前からオオタカの森の周囲にいたオスのオオタカ。
パートナーが帰って来るこの日を、今か今かとずっと待っていたのだろう。
帰ってくるまでは、すごく心配だった事だろう。
幼鳥が飛び去るのを見送った後、オスはメスと共に空高く舞い上がり、どこか遠くへと飛び去っていった。
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おわり
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