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Photographer Takashi Iwamoto Blog

ブログ | アフリカ フォトグラファー 岩本貴志|ドキュメンタリー ビデオ / 写真 撮影

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執筆者の写真岩本貴志

「カイツブリの子育て」その14、残された親鳥

更新日:2022年7月27日


このブログでは2017年、井の頭公園のカイツブリの繁殖、子育て奮闘の様子を紹介しています。


ヒナのために餌を捕まえるが、ヒナの姿が見られない


 


8月13日(2017年)、ひょうたん橋の巣にヒナの姿が見当たらない。

親鳥の背にも乗っていないし、周辺にも見当たらない。

しばらく探すがヒナの姿はどこにも見当たらない、4羽いたヒナはついに全滅してしまったようだ。


親鳥は魚を捕っては巣へ運ぶが、そこにヒナの姿はない。

もしかしたら、ついさっきまでヒナは生きていたのかもしれない、朝方ヒナを目撃した人がいるので、その可能性が濃厚だ。

エサをくちばしに加えたまま、親鳥はしばらく巣の周辺にヒナの姿を探した。

でも、どうしても見つからない。


しばらくヒナを探してもどこにも見当たらないので、運んできたエサを親鳥自ら食べた。

ヒナが死んでしまった事実を把握したのだろう。

愛情をもって接していた子がいなってしまい、親鳥の表情はとても悲しそうだ。

親鳥は最後のヒナを大事に育てはじめた矢先の出来事だったので、非常に残念だ。



ここひょうたん橋のつがいは仲が良くないのか、お互いあまり協力的でなく一度出かけたらなかなか戻らなかった。

巣にヒナの世話に残ったた親鳥も、相方がなかなか戻らないので、ヒナを巣に置き去りに出かけることも多かった。


そんな事が理由で、ヒナを育てるのに失敗してしまったように見える。



ヒナがいるはず、でもそこにヒナの姿は無い



合い方が戻ってこない以上、残された親鳥もヒナを残して狩りに出かけなければならなかったようだ。

雛はその間無防備になってしまう。

巣で待っていれば安全なのにもかかわらず、親鳥を待ちきれなくなったヒナは水面に降りてしまう。

そんな空きにカメにやられてしまったのかもしれない。

ヒナのいなくなった巣の周囲には、1匹のミシシッピアカミミガメがうろついていた。

独りぼっちになってしまった親鳥、

その日の夜、全ての雛を失ってしまった親鳥は一人寂しく巣で過ごした。

相方もしばらく見ていない。

独りぼっちになってしまった。

それから3日後の8月16日(2017年)、主を失い放置された巣は悲しげに雨に打たれていた。

そこにカイツブリの姿は無く、巣を蝕むカルガモの姿があった。

カイツブリの作った巣材の中に何か食べ物を探しているのだろう。



巣材を探るカルガモ

ここひょうたん橋のカイツブリは、巣を6月の終わりから作り始め、7月のはじめに4個の卵を産んだ。

卵は7月の終わりに全て無事に孵ったものの、日に日に数を減らし、最終的に全ての雛を失ってしまった。

他のカイツブリに負けず常に巣の修復を繰り返し、雨にも負けない頑丈な巣が維持されていた。

でも、親鳥は漁などで雛から目を離す時間が長く、その間に1羽、そしてまた1羽とヒナを失ってしまい、それが今回の失敗につながってしまったようだ。

今となっては全てが無駄となってしまったが、この苦い経験は次の繁殖に生かされる事だろう。




つづく



次回は七井橋のカイツブリを取り上げます。

 

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