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Photographer Takashi Iwamoto Blog

ブログ | アフリカ フォトグラファー 岩本貴志|ドキュメンタリー ビデオ / 写真 撮影

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「カイツブリの子育て」その19、台風が通過して

更新日:2022年7月27日

このブログでは2017年、井の頭公園のカイツブリの繁殖、子育て奮闘の様子を紹介しています。


兄弟にも、親鳥にも追い立てられ水面にうずくまってばかりいたヒナ(左) 9月12日


 


9月17日(2017年)、直撃はしなかったものの井の頭公園にも多量の雨を風をもたらした。


野生の鳥たちは、何とか風と雨を凌げる場所に避難しながらも、濡れながら時が過ぎるのを待つしかない。強風と豪雨に耐えてるのは、相当な恐怖も伴う事だろう。

井の頭公園などの人口の公園であれば、橋などの人工物を上手く使って雨風を凌ぐ事も出来そうだ。


今回は、そんな台風の前後の様子を紹介する。


たった一つがい、井の頭公園で繁殖するカイツブリ親子、七井橋、ボート乗り場近くで繁殖した家族だ。

今、井の頭公園で子育てが見られるのはこの親子だけ。


それも、あまり仲の良さそうな家族ではなかった。

生き残っているヒナは2羽。

そのうちの1羽のヒナは、親鳥からえさもろくにもらわず、兄弟よりも成長が遅く、毛(羽)並みも悪く、ひとまわり小さくなってしまっていた。

大きく元気なヒナは水面をあちこち動き回り、小さな兄弟の近くに寄って羽づくろいと伸びをして、親鳥のもとへ行くと思いきや、小さな兄弟をひとつつき。

親鳥のまねをして、相手を追いたて、つつくのを遊びとして学習してしまったようだ。

小さな兄弟は精神的にも肉体的にもまいってしまい、じっとうずくまっている事が多くなっていた。

そして、このヒナはこの日を最後に、姿を消した。



親鳥のヒナへの攻撃


ヒナが成長してくると、ある時期から、親鳥がヒナの事を攻撃するのを見かけるようになる。

おそらく、ヒナの親離れを促しているようにも思えるこの行動、何かしらそれ以外の意味があるようにも思えるのだ。

なぜなら、この攻撃を受けるのは大抵、何羽かいるヒナのうちの1羽だけを集中的に攻撃するように見えるからだ。

そして、やられるのは兄弟の中で最も弱そうな個体だけ。

捕獲出来るえさの量によって、育て上げるヒナを親鳥が選出しているのかもしれないが、やられるヒナを見ていると、非常にむごく、かわいそうに思えてならない。

何かをきっかけに、攻撃性のスイッチが入ってしまるのだろう?

野性の姿、時々、情け容赦が無い事が起こる。

客観的に見れは、子孫を残すためには効率的なのであとうが、やはり見ていてむごたらしい。



再び濁った池の水、晴れているにもかかわらず水中はこんなにもうす暗い


管理人が観察を始めた頃、非常に澄んでいた池の水も、今はこんなにも濁ってしまった。

井戸水の水量も、循環装置の能力も水温の上がる夏には浄化が全く追いついていないようだ。これだと、30センチも潜れば真っ暗だ。

上の写真は、井の頭自然文化園の池の断面が見れる場所、目の前2~3センチしか透明度が無い事が分かる。

こんなに濁っていては目の前にいる魚も見逃してしまうだろうし、自分のえさを獲るだけで精一杯なのかもしれない。

漁のため潜ったカイツブリは、潜った場所と出てくる場所が非常に遠く、潜る時間も長い。

水中を長距離泳いで魚を探しているようだ。

それでもなかなか魚は捕まえられず、空振りで水面に浮いてくる事がよくある。


漁に使用するエネルギーと得られる魚のエネルギー、費用対効果、あまり割に合わないようにも思えてくる。

8月にはたくさんいた、トンボなどの昆虫類も非常に少なくなってしまっているので、えさは潜って探す他は、ほとんど無さそうだ。

最近は井の頭池から鵜も姿を消した。

おそらく、水の濁りによる不漁が原因なのだろう。


観ていて、最後まで残ったカイツブリ親子、親鳥はひな鳥をほったらかしてどこかへ行ってしまっている時間が非常に長い。

自分のえさを獲るのに精一杯でヒナにまで手が回らないのか?

もしかしたら子育ての放棄を考えているのかもしれない。



潜る事を促すのだが、全く潜ろうとしないヒナ



親鳥はたまにヒナの元に戻ってはえさを与え、ヒナに水中に潜るのを促しているようだ。

でも、どうもこのヒナは潜るのが、あまり好きで無いようで、ほとんど潜ろうとしない。


自分で潜って漁が出来ないと、カイツブリは自分自身で生きていけないし致命的だ。

何でもまねする子だったのに、潜るのは真似しないのはなぜだろう?

濁っても何も見えない、すぐに暗くなる濁った水に潜るのはあまりいい気持ちのするものではないからかもしれない。

もしかしたら、お腹がペコペコに減っていて、そんな気力も無くなってしまったからなのかな?

一人残されたヒナはひたすら池の周囲を徘徊、水面に浮かんだ昆虫の死骸などを探して食べていた 9月16日


親鳥はどこかへ行ってしまい、しばらく戻らず、兄弟もいなくなってしまった今、独りぼっちになってしまったヒナは、ただひたすら池の周囲を徘徊、昆虫の死骸など食べながらさまよっていた。

小さな昆虫ばかりではとてもお腹がいっぱいにはなれない。


この次の日、台風18号が通過、豪雨と強風をもたらした。

この写真を最後にこのヒナは姿を消した。

台風の風雨に耐えられなかったのかもしれない。

今まで、姿を消していなくなってしまったと思われていたカイツブリが、しばらく後にひょっこり姿を現したりした事もあるので、まだどこかで生きているかもしれないし、そう願いたい。

台風通過後、池の周囲、ヒナを探しまわる親鳥が見られた、9月18日

台風通過後、親鳥は池の周囲を行ったりきたり、しきりにヒナを探す姿が観察された。

でもヒナはどこにも見当たらない。

いくら読んでも、ヒナは答えてくれない、ヒナが見つけられない親鳥は気力を失い元気を失ってしまったようだ。

そんな隙を隣人のカイツブリたちは見逃さなかった。



右奥を逃げるのが子を失った親鳥



子を失った親鳥は歯向かう事無く別のカイツブリに場所を譲った。

右の逃げる鳥が雛を失った親鳥、こちら側から侵入者に水しぶきをあげ攻撃をされている、

左を飛ぶのは外から一緒にやってきたうちの一羽。

この2羽は最近どこからか、別の水場からやって来たカイツブリだと思われる。

この後、後からやってきた2羽はガマ藪近くで合流した。

どうも場所を乗っ取ったのは2羽とも若鳥のようだ。

さらには場所を乗っ取った後、真っ先にガマ藪に入ったので、もともとこの場所を乗っ取られ、どこかに飛んでいってしまったと思っていた仲良し兄弟かもしれない。(「カイツブリ観察日記」6

固体識別は出来ていないので真相のほどは分からない。



この場所を乗っ取った若鳥、まだ羽に茶色が多く残っている





つづく


 

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