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Photographer Takashi Iwamoto Blog

ブログ | アフリカ フォトグラファー 岩本貴志|ドキュメンタリー ビデオ / 写真 撮影

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執筆者の写真岩本貴志

初代シグマ120-300mm f2.8 レビュー、使うほどに愛着の湧く実用レンズ

更新日:2023年8月6日


初代シグマ120-300mmf2.8、D850

今回ご紹介するレンズは、シグマの初代120-300mmのf2.8レンズ。APO 120-300mm EX DG HSM


筆者の妄想に基づいて、動画撮影での使い勝手をメインに話を進めます。

話半分で読み進めて頂ければ幸いです。

筆者紹介写真

このブログを書いているのはアフリカを拠点にするフォトグラファー。

シグマの120-300mmはかれこれ、購入する前を含めて8年ほど使用している。

実際に長年使用しての使用レビューになるので、実際このクラスのレンズの導入をお考えの方には、参考になる記事かと思います。




コンテンツ

  1. シグマレンズの存在感

  2. フォベオンセンサー搭載カメラ、シグマSD15

  3. レンズレビュー

  4. 使わない機能は無いほうがいい

  5. レンズ内手振れ補正が付いていないのもまたメリット

  6. いい点、ズームやフォーカスで全長が変わらない

  7. ズームリング、フォーカスリングの滑らかさ

  8. 絞りリング

  9. フィルター径105mm

  10. 描写性能

  11. まとめ



 


シグマレンズの存在感



最近、2020年2月ニコンからも同スペックの120-300mm f2.8レンズが発売された。


シグマの120-300mmf2.8レンズが発売されたのは、2005年7月で、ニコンが同スペックのレンズを発売する15年も前に発売していた事になる。


120-300mm f2.8というスペックは15年間唯一無二のレンズだったのだ。


他社の出していない、革新的な120-300mm f2.8のハイスピードスペックのズームレンズを、こんな昔から出していた、シグマさんの先進性、パイオニア的存在感、そのすごさを感じる。


今でもこのスペックのレンズを出しているのは、シグマとニコンだけ。


さらに上のトンデモレンズを出しているシグマさん、その上には200-500mm f2.8の超ど級レンズを出しているから驚きだ。


単焦点でも存在しない500mm f2.8をズームで。

レンズ口径は単純計算で、178.6mm。


現在のカメラ市場の中で、最強トンデモレンズといってもいいだろう。


使い勝手どうのこうのというレンズではもはや無いというか、そんな事に有無を言わせない超ど級の存在感のレンズだ。


ニコンを除いた他社の望遠ズームレンズ、f2.8通しのレンズといえば、200mm止まり。

明るさを一段落としてf4としても、200-400mmの焦点距離だ。


そんなレンズたちと比べると、そのド変態加減が感じられると思う。


そんな、とんでもレンズを出し続けているシグマさん、変態の域に入るかと思われる筆者自身、なにか仲間意識を感じたり、愛着を感じるのであった。




フォベオンセンサー搭載カメラ、シグマSD15


シグマ、SD15

シグマSD15 にニコンの50mmf1.2をマウントアダプターを介して取り付けている



そんなシグマさんからは、カメラボディでも他社のやらない革新的なカメラを出している。


フォベオンセンサーを搭載したカメラだ。


筆者はその中の一台、古いがSD15を今でも使っている。発売日は2010年6月とかなり前のカメラになる。


このカメラもなかなかの曲者、非常に動作が鈍く、高感度が使えないが、きまった写真のトンデモ発色、トンデモリアル存在感には、いつも息を呑まされる。


なぜそんな発色をするかといえば、理由はその撮像センサー


一般的なデジタルカメラは、単層のベイヤー配列センサーを使用している。

配列は赤、緑、青、緑、といった感じ。

単層なので感度的には優れるが、赤、青、緑と色の三原色を含めるには4画素必要で、1画素当たりに含まれる色情報は1/4


だから出力される画像の色のリアリティがなにか不足した感がある。

それはフォベオンセンサーと比べての話。


そんな欠点を補ったセンサーがフォベオンセンサー、1画素の中に層となって赤、青、緑の素子が含まれているのだ。


出力される1画素1画素それぞれに、薄められていない全てのRGB色情報が含まれた、色汁100%の濃厚な色が味わえる。


出力される画像の色密度が高いので、画面に映し出される画像は非常にリアルなのだ。


比べて、一般的なベイヤーセンサーを使用したカメラの色は4ピクセルで1セットなので、色汁25パーセントという事になる。


ローパスフィルターでぼやかし混ぜて、再びシャープにしたりと処理も多くなるので不自然感も発生するのだ。


フォベオンセンサー万能か?といわれれば、そんな事は無く。


欠点として、センサーの構造が層なので、感度的に劣るのは想像に難くない。

実際使ってみて、使える感度は、ISO100がせいぜい。


そんな、尖ったカメラ作ってくれたりするのも、またシグマさん。


今回、ここに乗せている120-300mmf2.8レンズの写真はすべてSD15にニコンAi Nikkor 50mm f1.2を使用している。


ちなみに上のSD15の写真はニコンD200(2005年12月発売)を使用。

既に17年前のカメラ。


昔のCCDを使った高感度性能は劣るものの、感度を下げて撮ると、最近のカメラではなかなか出せない、美しい発色をしてくれるのだ。


D200の高感度だとISO200か400がせいぜいかな。



フォベオンセンサーで撮ったレンズの質感、やたらリアルに見えないだろうか?





 


シグマ 120-300mm f2.8 レンズレビュー


初代シグマ120-300mmf2.8、ズーム、フォーカスリング


ニコン使いの筆者、初代シグマ 120 300 レビューはもちろんニコン用


このシグマ、APO 120-300mm EX DG HSM、2005年の発売から、世代を重ね、手振れ補正などが搭載され、外観デザインも今風に洗練され現在に至る。


しかしながら、初代の2680グラムと軽量?だった重量は、3390グラムと、710グラムも重くなってしまい、271mm(フード別)だった全長は、20mm伸びて291mmと一回り大きくなっている。


この差は結構大きく、2本のレンズを比べると、全く別物のレンズに感じるほどに巨大化してしまった。


手振れ補正が入ったにしろ、大きくなりすぎではないか?


画質に関しては、かなり良くなったようだが、これは使っていないのでネット情報の受け売り。


このレンズの魅力はなんといっても、通しでのf2.8という明るさ。

焦点距離も300mm


あのサンニッパがズームで使えるというイメージだ。

サンニッパといえば今も昔も夢のレンズ、(筆者の感覚)。


筆者自身このレンズを使う事は結構多い。

といっても、そのメインの使用場所は、写真よりも動画での野生動物撮影だ。


よくこのレンズに組み合わせて使用するカメラは、パナソニックのマイクロフォーサーズ。

野生動物撮影でよく使うのだ。


だから焦点距離的には2倍相当となり、フルサイズ換算の焦点距離は、240-600mmf2.8。

なんともフルサイズではありえない、野生動物撮影するのに非常に魅力的なスペックとなる。


さらにGH5のEXテレコンを使用すると、336-840mmf2.8というスペックになる。


性能的には、開放ではふわりと柔らかく描写されるが、f5.6に絞るとめちゃめちゃシャープ。


GH5での撮影、ノーマルで撮ったのか、拡大されたEXテレコンで撮ったのか区別は出来ないほど高性能の解像度。


勿論、フルサイズでも周辺まで非常にシャープ、写真でも十二分の画質を出してくれる。

というか、写真用のレンズなのだが。


画質に関しては後ほど。


マイクロフォーサーズを使用しての野生動物の動画撮影、これはなかなかおいしいレンズだ。


このレンズの魅力を筆者が知ったのは、2015年から1年以上にわたって、タンザニアのセレンゲッティ国立公園他で、ライオンやチーターなどを撮影するのにこのレンズを使ってから。


高画質でありながら使い勝手のいいレンズだと、日本に帰国後すぐに、同レンズを購入するに至った。


購入したのは、とある目黒にあるカメラ屋さん。箱と保護フィルターの付いた新品同様品。

今思えば、とてもよい買い物だった。





 


使わない機能は無いほうがいい、

初代シグマ120-300mmf2.8、右側

レンズ右側にはEX/SIGMAのタグ、唯一の飾りと思ったら左にもあった 



シンプル・イズ・ベスト!


野生動物の動画撮影となると、この焦点距離ではほぼ間違いなく、三脚などに固定されたビデオ雲台を使用する。


という事で手振れ補正は不要の代物。

撮影現場がアフリカのサバンナが多い管理人にとって、その耐久性、信頼性に関しては非常に重要。前にも書いたが再び。


道中激しく振動する車に常に揺られる環境では、やはり壊れにくい、シンプル・イズ・ベストという事になる。一度の撮影で1ヶ月以上ぶっ通し撮影、走る道のほとんどは未舗装路。


レンズが使えなくなってしまっては話にならない。


このレンズ、非常にシンプル、スイッチ類が一切付いていない。


フォーカスリング、ズームリング、絞りリングの三つのリングに三脚座が付いているだけ。

三脚座は取り外し可能だが、取り外して使う事は無いな。


手持ちでの写真撮影でも三脚座に手を置いて撮影する、そうしたほうがズームリングやフォーカスリングの指先を使っての微妙な操作がやりやすい。





 

レンズ内手振れ補正が付いていないのもまたメリット


手持ちでの撮影で非常に重宝する手振れ補正だが。


レンズ内手振れ機構などのハイテク、精密機構は壊れやすいという事に結びつく。

上記のような苛酷な環境で使っていると補正レンズが光軸の真ん中に戻らなくなってしまったりするのだ。


そうなるとどうなるか?


画面が標準、広角系のレンズだと偏ボケになったり、右半分でピントが合っているのに、同一距離だというのに左の一部がピントがボケたようになったり。

望遠だと全体のピントが甘くなる感じかな。(筆者が今まで経験したもの)


そんな症状が現われた時は、電源や手振れ補正のスイッチを、オンにしたりオフにしたり。


大抵はそれで戻るのだが、それでも戻らない時は、レンズを外して振ったりと荒業を使用。


それでもまだ戻らないと、手振れ補正の付いていない別のレンズを使ったりする。


手振れ補正機能が原因で、レンズが使えなくなるようでは何のための手振れ補正か分からない。


手持ちでの写真撮影、動画撮影などでは、非常に重宝する機能でも、しっかりした雲台を使うことが前提であれば、まずいらない機能。


使わないのであれば、無きに越した事無いのだ。

いろいろ機能があるのは便利だったりするが、いい事ばかりでは無い。


以前使わせてもらったタムロンの150-600mm、使い始めは非常にシャープだったのだが、使っているうちに画質が悪くなった。


おそらく、手振れ補正レンズが真ん中から少しずつずれていった事が考えられる。


是非是非、メーカーさんには改良をお願いしたいしだいだ。



レンズ内手振れ補正がないレンズのメリットは、個々のレンズは確実に光軸上最良の場所に配置されているという安心感だろう。


もう一つ、メーカーによっては手振れ補正がONの状態で三脚を使うと、手振れ補正レンズが暴れ出したりしてしまう物もあるようだ。


揺れていないと落ち着かないレンズ。

こういった点も改良をお願いしたいが、もうされているのかな?






 

良い点、ズームやフォーカスで全長が変わらない


初代シグマ120-300mmf2.8、上面

上から順に、ズームリング、フォーカスリング、三脚回転座、絞りリング




このレンズ、ズームリングを回しても、フォーカスリングを回しても、レンズの全長が変わらない。


これもまた、非常に大きなメリット、動画撮影中ズームしても、レンズの重心が大きく変わらないので、一旦前後バランスを取ってしまえば、後はあまり動かす必要がない。


60-600、150-600などズームと共に大きく伸びるレンズの場合、ズームする度に雲台のバランス調整が必要だ。


この120-300ズームを動かすと多少バランスが移動するが、ビデオ雲台(ザハトラFSB4)を使えばズーム全域において手を放してもほぼバランスが取れるようになる。


それと、レンズが密閉された構造なので、埃の多いところで、ごみがほとんど中に入らないので安心。




 

シグマ 120-300mmのズームリング、フォーカスリングの滑らかさ


静止画撮影にも言える事だが、動画撮影においては、フォーカスリングやズームリングの動きの滑らかさは静止画の比にならないぐらい非常に重要。


その動きがそのまま映像となるからだ。


このレンズ、現在筆者の使っているレンズの中でリングの動きの滑らかさはいちばんいいかもしれない。


対抗するのはニコンのマニュアルレンズ50mmのf1.2。


硬すぎず、やわらかすぎず、非常になめらかに操作出来る。


動き始めカクカクと動き出す事も全く無く、超微妙な動きも自由自在。

一眼用オートフォーカスレンズでこの滑らかさ、作り手の極限までのこだわりを感じるレンズだ。


こういったカタログにも数値的に表現できないところを完璧なまでに仕上げる、シグマさんの技術陣営の魂を感じるのであった。言い過ぎか。


それぐらいフォーカスリングの動きは滑らか。

フォーカスリングだけでなくズームリングの動きもまた、めちゃくちゃ滑らか。

トルク感も、それぞれ完璧だ。


ゴムローレットの滑り止め、指にしっくりと食いついてすべりづらく使いやすい。

ズームリングもフォーカスリングもその幅といい、絶妙のバランスで配置されている。


ズームリングがフォーカスリングよりも一回り太くなっているのも、絶妙に操作性を良くしてくれている。


両リングとも全域にわたって業務用ビデオレンズに匹敵する滑らかさと操作性だ。


こだわりの技術陣の、魂のこもった工作精度なのだろう。


業務用レンズ、操作性は飛びぬけているが、値段も飛びぬけているのだ。


ゴムローレットの素材も、購入から6年経つが(中古)、ブヨブヨになる事も無くしっかりとした質感を保っている。


フォーカスリングは無限遠から最短までの回転角は120度無いぐらい。


ストロークは小さめだけれど、その高精度の作りと相まって極微妙な動きも可能なので、野生動物のフォーカシングも非常にやりやすい。


ずっとこのレンズを使っていたので、自分自身がそのストロークに慣れてしまったようだ。


フォーカス目盛りはしっかりと付いているので、レンズの距離情報を確認できるのでありがたい。


ちなみにフォーカスリングも、ズームリングも回転方向はニコンと逆。

ただ、絞りリングを含め、一般的なビデオレンズと回転方向が全て一緒なので全く問題は無い。


ニコンの70-200mmf2.8VR2とは、ズームとフォーカスリングの位置、回転方向が全て違う。まぜこぜに使うときは、回転方向を間違わないように注意が必要だ。


さらに、ズームもフォーカスも完全機械駆動。


使っていてものすごい安心感がある。リングに直結。

接点不良で動かなくなる心配はゼロだ!!!





 


シグマ 120-300mm f2.8の絞りリング


初代シグマ120-300mmf2.8、絞りリング

動画撮影に重宝する絞りリング



初代シグマの120-300mmf2.8、ニコン用には絞りリングが付いている。


残念ながら新しいレンズからは、この機能は失われてしまった。


動画撮影、このリングがあると無いとで、撮影スタイルは大きく変わってくる。


屋外での撮影中、日が出たり曇ったり、さらには被写体が日陰から日向へ、はたまた日陰に戻ったり、撮影状況は刻々と変化する。


そんな条件下での撮影は、ほとんどマニュアル露出。


写真では全く関係ないが、動画だとそんな状況の変化にいかに対応するか、絞りリングがあると無いとではその操作性に雲泥の差が出てくるのだ。


絞りリングがある事で、1/10段の調整であろうと2段の調整であろうと、素早く動かしたり、ゆっくりと動かしたり、自由自在に変化させる事が出来る。


更に、アナログ操作なので、撮影中でもカクカクならず、自由自在に滑らかに明るさを変える事が出来る。



シグマ15mm魚眼レンズ

絞りリングは魚眼レンズとも共用部品!



ただ、この120-300mmf2.8の絞りリング、他のシグマ製レンズとも共用のようで、300ミリで使うにはちょっと幅が薄すぎる。


魚眼レンズとも同じ絞りリングを採用している。

ちょっと残念に感じる点。


もっと幅があれば操作がやりやすくなるのだが。


マイクロフォーサーズでマウントアダプターを使う事が多いので、ボディとの間に多少の余裕が出切るのでマイクロフォーサーズでの操作性はそれ程問題ない。


しかし、D850など、マウントアダプターを介さずでの操作は、絞りリングの幅が狭く操作しづらい。


そもそもD850だと、絞りリングを操作するとカシャカシャと音が入るので動画では使えない。

だからパワー絞りを使わざるを得ない。




 

フィルター径105mm


初代シグマ120-300mmf2.8、フィルター径105mm

購入時付属してきたマルミ、プロテクターフィルター



このレンズ、先端部分に105mmのフィルターがくっつく。

そこで、疑問が生じる。


300mmでf2.8だと最低でも口径は107mm必要な事になる。

あれれ?107mm無いという事は、f2.8ないという事。


実際はもっと小さいだろうが、105mmが口径だとするとf2.86、許されている許容範囲だという事なのだろう。


実際フィルター開口部の口径を定規で実測してみると101mm

その口径で明るさを計算してみると、f2.97、許容範囲なのかな?

ま、300mmf2.8よりも暗い事は確かだ。



後部差し込みフィルターは付いていない


サンニッパなどには付いている後部差込フィルターはついて無い。


フィルターを使うとなると105mmと結構大口径のフィルターが必要だ。


ただ、後部差込フィルターのような穴が無いので、密閉性が高く、ごみなども入りにくい。


苛酷な環境で使うには逆にメリットともいえるだろう、さらには光学系には必要ない2面の反射面を増やさないで済んでいる。


使用しているニコンのサンニッパ、結構中にごみが入る、やはり後部差込フィルターの穴が原因のようだ


筆者の使っている120-300mmf2.8も過酷な埃っぽい状況で使い続けているのにもかかわらず、中にごみはほとんど見られない。


全長が変わらず、後部差込フィルターも無いレンズ、密閉性が高く、さらに頑丈、ある意味サバンナでの野生動物撮影用にデザインされたレンズのように感じる。



フード


初代シグマ120-300mmf2.8、フード

遮光リングはなかなか、金属製のしっかりしたフードだ



焦点距離120mmからのフードなので、かなり短く300mmで使うには物足りない感がある。

金属製のしっかりしたフードで、先端にゴムカバーが付いているので安心して地面に立てられる。

レンズへの固定もネジ一本で固定するのだが、しっかり確実に固定出来る。

しっかりと絞めれば、ガタは全く発生しない。


管理人がマイクロフォーサーズでこのレンズを使う時は、先端のゴムカバーを外して、ニコンのサンニッパ用のフードを重ねて使う。

逆光時のコントラストが大きく改善される。



オートフォーカス


動画では筆者はオートフォーカスは使わないというか、GH5に使用しているマウントアダプターは電気接点の無いタイプなので、使えない。


D850でも動画でのオートフォーカスは性能的にほとんど使えないので、

一眼レフ写真撮影のオートフォーカスのスピードと精度について。


初代シグマ120-300mmf2.8、作例220mmf4、モトクロス

初代シグマ120-300mmf2.8、220mmf4作例、モトクロス2

ナイロビ、一般人モトクロスレースの様子



上の写真、いずれも焦点距離220mm、f4、フルサイズで撮影。



フォーカスの駆動のスピードは超音波モーターの例に漏れず、ものすごく速く静か。


比べる相手はニコン初代サンニッパ。

こちらはシグマの120-300mmf2.8が発売されるさらに9年も前のレンズ(1996年発売)


シグマ初代120-300mmf2.8のフォーカスのスピードはニコンの初代サンニッパよりも若干遅いようにも感じる。


ニコンのサンニッパのほうが、かなり強力なモーターを使用しているようだ。


使用上ストレスを感じる事はほとんどない。



注意が必要なテレコンを使用してのオートフォーカス


ただ、ニコンのテレコンバーターを使用すると(要改造)、シグマ120-300mmf2.8は、フォーカスが行ったり来たりして決まらない。


ニコンのテレコンを使う場合はMF操作が無難。

シグマ純正テレコンだとこの不具合が起こらないのかは、まだ不明。


筆者が使ってみての印象に過ぎないので悪しからず。


機会があったらシグマ純正テレコンでテストを試みようと思う。




オートフォーカスで重要なのは、スピードよりもいかに正確にピント面で迷わずに止まるか。


テレコンを使わなければ、オートフォーカウ性能は全く問題ないが、テレコンを使うと迷いに迷ってしまう。





描写性能


開放f2.8は芯がありながら柔らかな描写



開放からカりカりの画質が出るかといえば、そうではなく、少しだけフォギーがかった描写になる。


炎天下で開放はあまり使えないかな?大抵ちょっと絞る。


しかしながら、色収差はf2.8の開放でも非常に良く補正されているので、夕暮れ時、曇り空、雨天時のf2.8開放はなかなかの味わい、独特の美しさをかもし出してくれる。

カリカリ二ならず、フワッと柔らかな描写。


今時のカリカリシャープレンズには無い、印象的な感じ。

ごちゃごちゃした下草、前後共にとろけるようにボケていく。


何気ないシーンもそれなりに写し出してくれる。


初代シグマ120-300mmf2.8、開放策例、シマウマ

草原でたたずむシマウマの子供 300mm、f2.8開放で撮影



拡大してみたのが下の写真。


ピントに芯が残っていながら発生する球面収差は美しいフォギー効果を生み出してくれる。

ボケはじめも非常に自然で、芯を残しながら被写体周辺から自然に溶けて行くようなボケ。

サンニッパの全体が平均的にボケていくのと比べると大きな違いがある。


初代シグマ120-300mmf2.8、開放、ピクセル50%

同写真、ピクセル50パーセントに拡大して出したもの



拡大すると良く分かるが、なかなか美しい印象的な描写をしてくれている。


ある意味ボケ始めの美しさ、前後のボケも、ニコンサンニッパよりも柔らかく印象的かもしれない。


120-300mmの全焦点領域で、描写の変化がほとんど感じられないので、動画でズーミングしても全く気にならない。

しかしながらズームするごとにフォーカスは若干修正する必要があるが。



初代シグマ120-300mmf2.8、300mmf4作例、京王井の頭線

絞りf4で撮影、一気にキリリと引き締まる


f4に一段絞ると、一気にしまりが出るが多少柔らかな感じ。


f4に絞ると炎天下でも十分に使えるようになる。


ボケは前後とも非常に柔らかく美しい。


上の写真はf4に絞って撮影したヘッドライトを点けた京王、井の頭線。抜けは良過ぎず、程よいフレア、ゴーストが発生。


高輝度部分の明るさも適度に表現され、夕焼けの光も柔らかく全体に回り込み、写真全体の雰囲気も見た感じに近い自然な印象に仕上がる。


抜けが良すぎると、被写体によってはくっきりしすぎて、こういったものの雰囲気が表現しにくくなったりする。




f5.6に絞ると、おそらく非常にシャープ、画面全体にわたりカリカリにシャープになる。


それでいてボケは前後とも非常に美しい。


f8、f11、は野生動物の動画撮影でよく使用する絞り。


どちらもピントがあった部分はカリカリ、それでいてボケは自然。

f11まで絞れば、ズーミングしてもフォーカスの微調整ほとんどしないでもいいほど。


このレンズ、120mmから300mmへとズームするとフォーカスが前後に移動する。


特に300mm近くでフォーカスが大きく移動するので、動画での撮影中はうまーく、その焦点距離の手前でズームを止めたりして使う。


動画で使うにあたって、このレンズ唯一の欠点かな、きっと。


f11に絞ると、そんなピンボケも最小限に抑えられ、ある意味許容範囲に入るのだ


f16に絞ると、画質の低下を感じるようになってくる。


f16はまだ許容範囲だけれど、f22まで絞るとかなり甘くなってしまうのでほとんど使う事は無いかな。


ちなみに最小絞りはf32.






まとめ


発売から17年(2022年現在)経つレンズ、既にかなり古いレンズの部類に入るけれど、光学系的には今でも十分使える高性能レンズ。


このレンズに好感が持てるのは、全身金属ボディでありその工作精度の高さ。

長年振動の激しいところで使用しているが全く、がたが発生していない。


絞りリング、ズームリングも驚くほどにシットリ滑らか、動画撮影でも自由自在に操作する事が出来る。


この初代と次のモデルは確かZEN仕上げとか言っていたかな?金属表面に薄いゴムのコーティングされたような塗装。


このコーティングが結構はがれやすい。


面白いのは、いいのか悪いのか、塗装がはがれて出てくる黒く塗装された下地がZEN仕上げ以上に美しいのだ。


下地まで磨き込まれたモデル、見た目だけでなく、中身もしっかりしているという事だろう。


考え抜かれたシンプルデザインの全身高精度金属ボディの超実用レンズ。

使うほどに、愛着が湧いてくるレンズだ。




最後までお読みいただきありがとうございました。



 






 

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