身近な太陽の活動について、取り上げます。
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太陽には黒点がある、というのが一般的な姿。
その活動状況の変化を、目に見せてくれるのが、太陽表面に発生する黒点。
2020年6月21日、黒点が見当たらない太陽、日食が終わる寸前
つい、この間の日食の際、久々に太陽表面の写真を撮った。
上の写真、日食が終わる寸前、真下ちょっと左、少しだけ太陽が欠けている。
久々に太陽の写真を見てびっくり。
表面に黒点が見当たらない!
今まで見慣れた太陽表面には必ず一つや二つは見られた黒点なのだが。
全く見られない。
調べてみると、黒点が見られないのも、すごく珍しい事でもないようだ。
太陽活動はおよそ11年周期でその活動を、変化させている。
今(2020年)はその周期の活動がいちばん弱い時期。普段、活動期の終わりには、次の周期の太陽黒点が高緯度から発生し始めるのが普通のようだが。
1600年代、望遠鏡の発明早々から続けられてきた太陽黒点の観測。分かった事は、太陽活動の周期的変化。
太陽表面の黒点が、増えたり、減ったりしているという事。
太陽黒点が少なくなると、気候に影響を及ぼし、地球の気温が下がったり、冷害や長雨で、耕作物の不作に見舞われたり。
詳細は分からずとも、そんな太陽黒点と、地球の気候の因果関係が長年の観測で分かっている。
ただ、太陽黒点が少なくなろうとも、太陽から放射されるエネルギーは0.1パーセント程しか弱まらないそうな。
黒点という名が付いているが、実際には黒いわけではなく、周辺よりも若干温度が低い分、太陽表面の中で、暗いスポットとして見えるというわけだ。
黒点の位置からは、強い磁力線が延びている。
その強い磁力線の影響によって黒点が作られている。
太陽活動が活発になると、磁力線の活動も活発になり、大小様々な黒点が数多く現れる。
磁力線は、太陽の自転などにより、時々ちぎれたり、同時に大量の粒子が磁力線と共に遠く離れた宇宙まで撒き散らされる。
太陽風は、この磁力線に影響されながら宇宙に放出される、粒子という事だ。
それに対して宇宙線は、宇宙空間に無数に高速で四方八方から飛んで来る粒子。
太陽風と比べると速度が桁外れに高く、ものすごく大きなエネルギーを持っている。
太陽風の恩恵の一つとして知られるのは、宇宙線の侵入を抑えてくれている、という事。
地球は、この太陽から放出される太陽風によって宇宙線から守られているようなもの。
時々、電子機器などにダメージを与える太陽風だが、恩恵もかなり大きい。
太陽活動が弱まると雲が増える
太陽の活動が弱まり、太陽黒点が少なくなると、強力な宇宙線がより多く地球に降り注ぐ事になる。
巨大なエネルギーを持った宇宙線が地球大気にぶつかると、連鎖的に大量の微粒子か発生。
そんな微粒子をコアにし、水蒸気が水滴となり雲が増え、雨が増え、そして日照時間も短くなるといわれる。
空気中の水蒸気が水滴となり、雲になるには何かしらの、空気中を漂う粒子が必要だ。
そんな微粒子を大気中に大量に生成するのが、宇宙からやってくる宇宙線。
太陽の周期的変化
今は、太陽黒点の活動変化を、数え始めて24回目の活動が終わったところ。
そして、25回目の活動が始まるのを、今か今かと待っている時期にあたる。
(実際2019年12月に第25周期に突入したという)
太陽黒点の少ない活動期は周期も伸びるようで、最近はその傾向で周期が伸びている。
前回のピークは2014年前後
最も黒点が多く増えた日をピークというように決められている。
2014年2月2日の太陽
上の写真は、第24サイクル2014年2月2日、ピークをちょっと過ぎた時撮った太陽。
前回のピーク時の黒点数も、思ったほど伸びずじまい。
太陽黒点の数も少なく、活動周期も長くなっている事から、太陽の活動は最近弱まっているのは間違い無さそうだ。
この11年の活動サイクルも、100年前後の大きな周期で変動している。
今は、その大きな変動サイクルも、弱い時期に重なっているようだ。
太陽黒点が殆ど見られなかった400年前の現象
1610年ガリレオが、望遠鏡で天体観測を始めて、その頃から始まった太陽黒点の観測。
そんな観測を始めて早々に起こった、太陽黒点が殆ど観測されなかった時期は「マウンダー極小期」と名づけられている。
当時は観測を始めて間もない太陽、黒点が無いのが当たり前だと考えられていた。
マウンダー極小期は、1645年から1715年にかけての70年間、黒点がほとんど観測されなかった期間。
その期間、ロンドンのテムズ川が氷結したり、日本でも夏に霜が降りたり、長雨が続いたりと、冷害による不作で、何度も飢きんに見舞われたという記録が残っている。
先程も述べたように、太陽活動が弱まっても、太陽から放出されるエネルギーは0.1パーセントほどしか変化しないという。
原因は太陽から放出されるエネルギーとは、別の原因が考えられる。
前途したように、太陽の磁場が弱まると、黒点が減るとともに宇宙へと放出される太陽風が弱まる。そして、太陽風よりもずっと強力な宇宙線が地球に大量に注がれる事になる。
宇宙線のエネルギーは太陽風よりもずっと強力だ。
飛んでくる粒子は、太陽風とそう変わらないのだが、半端なくスピードが早い。
太陽風が秒速500キロメートルぐらいなのに対し、宇宙線は光の速さの数十パーセント、秒速10万キロ以上に達するエネルギーを持ったものもあるそうだ。
これは太陽風500と宇宙線10,0000のエネルギーの差ではなく、エネルギーは速さの2乗に比例するので。
わかりやすくお金に換算すると、
太陽風が500円だとすると 宇宙線は20,000,000円ものによっては数十億円
太陽風が、立ち食い月見天ぷらそば一杯、に対して、宇宙線は高級スポーツカーほどの差。
それだけの差がある。
これはニュートン力学での計算。
相対性理論で計算すると、宇宙線は光の速さに近くなっているので、その差は更に大きくなる。光速に近づくほど質量が大きくなるからだ。
その宇宙線には、人類が巨大加速器で作り出したのよりも数百倍、数千倍というとんでもないエネルギーを持った超高エネルギー宇宙線も存在するという。
光の速さに非常に近い粒子という事だ。
そんな高エネルギー粒子の衝突がたまに、大気の上層部で起こっているのだ。
そんな高エネルギーの宇宙線の発生源は、超新星爆発やら、ブラックホール同士の衝突などが考えられているそうだ。
そういった高エネルギーの宇宙線が地球の大気にぶつかると何が起こるか?
超高エネルギーの宇宙線が大気に衝突すると、ぶつかった大気の分子、原子を粉々に破壊し、飛び散った大量の素粒子も、次の大気中の原子を次々に破壊。
そんな事を繰り返しエネルギーが十分に弱まるまで、鼠算式に大気上部から地上にかけてに大量のイオン粒子を作り出す事になる。
この大量に発生したイオンの粒子を核に、水蒸気が水滴になり本来だと発生しなかったはずの雲が生成される。
こうして大量に発生した雲が、気候にも影響を及ぼし、冷害や飢きんの原因になったりすると考えられているのだ。
地上で見られるミュー粒子(多摩六都科学館)
宇宙線が大気に衝突すると、大気成分がイオンに破壊される。その際に発生する、ミュー粒子が地上で観測される。
そんな地上で観測される、ミュー粒子を光で見られるようにした装置が、東京都、西東京市に位置する、多摩六都科学館に一般展示されている。
宇宙線が上空で大気とぶつかり、大気成分の原子をことごとく連鎖的に破壊し、発生したミュー粒子。
最終的に地上に飛び込むミュー粒子がこの観測装置で光として見る事が出来る。
そんな地上に飛び込むミュー粒子をGIF画像にしてみた。(2017年撮影)
紫色の光が地上にやってきたミュー粒子。
2014年2月2日の太陽黒点、上の写真拡大
エネルギーが放出されるまでの途方も無い年月
地球上の全ての生命が維持されているのも、太陽からのエネルギーが降り注がれてこそ。
たった30分の間に太陽から地球に浴びせられるエネルギーは、20世紀後半から現在までの期間、人類が消費した全てのエネルギーに相当するという。
そんなエネルギーの源、太陽の観測の歴史、人間にとっては長いように思われる400年の観測期間。
地球と共に生まれ育った、46億歳の太陽にとって、そんな400年の歴史など一瞬にも当たらないほど短い期間。
その太陽から発せられる全てのエネルギーの源は、太陽中心部で起こる核融合反応によるもの。
太陽中心部で生成されたエネルギーは、太陽表面に達するまで50万年とも100万年もかかるといわれる。
という事は、現在地球が受け取っているエネルギーは、人類が原始時代だった頃に、太陽中心部で核融合反応によって生成されたもの。
太陽エネルギーが放出されるまでの期間を100万年として、寿命100年の人間と置き換えてみると。
人類が太陽を観測してきた400年という期間は、たったの2週間ばかしにしかならない。
天体と地球上の生き物とで、その流れる時間のタイムスケールがあまりにも違う事を思い知らされる。
身近でありながら、まだまだ謎に満ちた天体、太陽
太陽はまだまだ分からない事ばかりだ。
自転速度が低緯度で速く、高緯度ほど遅くなったり。
11年周期の、N極とS極の磁場の入れ替えと活動周期の起こる詳しい原因についても分かっていない。
当たり前に観測される事実にもかかわらず、いまだ分からない原因の数々。
スーパーコンピューターなどを使い、より細かな精度で太陽活動のシュミレーと出来るようになり、観測結果と予測値が大体合ってきたそうだが。
今後、謎に満ちた太陽について、新たな発見がある事だろう。
いま当たり前に信じられている事が、完全に覆される事もあるかもしれない。
今後の太陽、第25回目の活動期が始まらず、「マウンダー極小期」のように黒点が出てこないとも限らない。
過去の観測データから、今までがそうであったように、これからどうなるか推測する事は出来るが、これからどうなるか確実に分かっている事は、「これからどうなるか分からない!」という事だけ。
太陽が脈打つように、マウンダー極小期のような太陽活動の弱い期間は100-300年おきに発生している事もわかってきたそうだ。
という事は?既に400年経った今どうなるのかな?
400年の観測期間しかなければ、400年周期で起こる現象の詳細が分かるのは、ずっと先の未来。
太陽にしろ地球の気候にしろ、実際は、まだまだ分からない事ばかりだ。
最後に
人類も、科学に対してもっと誠実に謙虚になれればいいと思うんだけれど。
最近の科学、あまりにもビジネスのために、捻じ曲げられすぎている気がする。
それもそのはず。
日本でも温暖化対策に、毎年5兆円、毎日137億円投じられているという。
それだけ、国内でも儲けている人がいるという事。
科学も、一筋縄ではいかないのが現状のようだ。
なんでも、研究するにもお金がかかるし、結果ありきの研究だってあるかも。
資本主義だから仕方ないか!
資本主義とは、国境を越え、宗教を超え、お金を崇拝する事のようだ!
お金といっても、傍からみれば人類の約束事に過ぎない、まぼろしの様なもの。
このまま400年前のマウンダー極小期の時の様な事が起これば、この巨額の温暖化対策の費用は、気付かぬうちに、寒冷化対策の費用に名を変えて使われる事になっているかもしれない。
外国では、Global Warming(地球温暖化) といわれていた言葉、最近ではGlobal Weather Change (気候変動)と、いつのまにか変わっていた。
最新太陽画像、2020年6月29日
いましがた、2020年6月29日ケニア時間(+3GMT)に太陽を撮ってみたが、黒点の出る気配はまだ見当たらない。
このまま出てこなかったら大変だ。
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追記
2022年、太陽活動がけっこう活発になってきました。
そんな太陽活動、1ヶ月の黒点の動きを3分ばかりの動画にまとめました。
下の表紙の写真は2022年5月22日に撮影したもので、非常に大きな黒点が見られます。
その後、活発になるかと思いきや、7月半ばになると、また黒点があまり見られなくなったりと、本当に黒点の変化は予測出来ません。
今後黒点がどう変化していくのか、見守っていきたいと思っています。
このブログを書いた時の太陽画像と比べると、画質的にかなり向上しました。
そんなところも見てみてください。
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