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Photographer Takashi Iwamoto Blog

ブログ | アフリカ フォトグラファー 岩本貴志|ドキュメンタリー ビデオ / 写真 撮影

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可変NDフィルター(PLフィルターを重ねて試してみた)

更新日:2023年6月19日

今回は、動画を撮影される方は持っていると大変便利な可変NDフィルターについてご紹介します。


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組み合わせ手作った可変NDフィルター


くるくる回すと明るさが変化するフィルター。



可変NDフィルター、名前の通り、明るさを変更出来るNDフィルターなのだ。


どんな時に使うものかというと、特に動画撮影。


撮影側はいつでも被写体が最もおいしく、印象的に写る絞りを選びたいもの。

特に大口径高性能レンズを使用した時だ。


そんな大口径高性能レンズのおいしい絞りは当然ながら、開放付近。


絞りを開けていくと、被写体の前後が大きくボケる。逆に絞りを小さく絞っていくと被写体、前後のボケは小さくなり、全体にピントが合ったように見えてくる。

焦点距離や、レンズの明るさによってその差はあるが、この変化、全てのレンズにいえる事だ。


写真であれば、ISOとともにシャッター速度を1/8000秒などに、速い側に調整したりすれば、かなりの場合対応出来てしまう。

ブラすためにシャッター速度を遅くしたり、f1.4などの明るいレンズを開放で撮ろうとすれば、当然写真撮影でもNDフィルターは必要になってくるが。


しかし、動画ではそうはいかない。

24P、30P、60Pなどなど、動画の動きを滑らかに表現するためにはシャッター速度はあまり速くしないほうがいいのだ。

シャッター速度を早くしても動画は撮れるが、再生時の動きがカクカクした感じになってしまう。

フレームレートが小さな24Pとかだとその影響は顕著に現われてくる。


フレームを切り出して、静止画として使ったり、特殊な使い方をするためにわざとそうする事もある。

でも、基本的には動画を再生した時に、滑らかな動きを再現するシャッター速度は、そのフレームレートになるべく近いほうがいいという事になる。


その理由は、動画の中を動く被写体が、前後のフレームの間で途切れる事無く、つながってくれるからだ。

そうやって撮った動画は、再生した時により滑らかに動きが再現される事になる。



ここらへん、最高の画質、動き感、より上を求める、ハイレベルな人たちのこだわりの世界かな。

高価な大口径レンズを使用して、動画を撮る人の多くは、そんなこだわりの人たちだろう。



夢をかなえてくれる魔法のフィルター


そんな時に使うのがNDフィルターだ。

ND2、ND4、ND8、ND16、ND400などいくつもの種類のNDフィルターが、多くのメーカーから販売されている。

ND2は明るさが1/2、ND4が1/4、ND16が1/16というわけだ。

より暗くしたい時は重ねて使ったりもする。

ND400とND16を重ねて使えば、400x16=6400で、ND6400となり、太陽表面の黒点の様子を撮影したりする事も出来る程に減光される。(※NDフィルターを重ねても太陽撮影は非常に危険です


写真撮影であれば、シャッター速度を大きく変えられるので、固定NDフィルターでも十分事足りる。


でも動画をこだわったシャッター速度で撮るとなると、そうはいかない。


撮影中、明るさが変化するたびに、フィルターを付け替えたりしていては、フットワークが落ちてしまう。


そんな事で、ビデオカメラには最初からNDフィルターが何枚も内蔵されているものが多い。


最近は、ミラーレスや一眼で動画を撮る事が多くなった。

ミラーレスや一眼カメラには、ほとんど搭載されていないNDフィルター。

ISO設定も下げすぎるとダイナミックレンジ、画質が低下するので、最高の画質を求めるためには、最高画質を出すISOも選びたいところ。


そんな撮影者のわがままを全て聞いてくれる、全ての理想をかなえてくれるのが可変NDフィルターなのだ。


このフィルターを使えば、光の状況が変化しようとも常に、ドンピシャの露出で開放、最適シャッタースピード、最高画質ISOで撮影出来る事になる。


可変NDフィルターは、まさにそんな夢をかなえてくれるフィルターなのだ。



可変NDフィルターをありあわせのPLで作った


そういっている管理人自身、現在可変NDフィルターは持っていない。


カメラをやっている人であれば大抵検討が付くと思うが、PLフィルターを2枚重ねて片方をぐるぐる回せば、透過率が大きく変化する事はよく知られている。


という事で、可変NDフィルターは、PLフィルターを重ねて一つのフィルターにしてるものと思い、手元にあるPLフィルターで可変NDフィルターを作って試してみる事にした。


手元にはサーキュラーPL(円偏向フィルター)とただのPLフィルターがいくつかあった。


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手持ちのNDフィルターとステップアップリングを組み合わせた可変NDフィルター



PLフィルターは、そんな全方向に振動する電磁波である光の特定の方向の成分だけを取り出すフィルター。


円偏向(CPL)フィルターは、偏光された光をさらにフィルターを通し、回転成分にしたもの。


理屈で考えると、サーキュラーPLフィルターは可変NDに向いていない事が想像出来る。

位相を同じ方向に回転させたものなので、フィルターを重ねたところで変化は少ないと思った。


それに対してただのPLフィルターは、素直にまっすぐの位相の光をそのまま取り出すもの。


そんな一方向の位相の光は、再びただのPLフィルターに通せば、その透過率は回転させる事によって大きく変化する事が容易に想像出来る。


という事で、手持ちのただのPLフィルターを重ねて実験してみた。


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予想していたようにちゃんと可変NDになった!



上の写真、少しずつ一つのフィルターを回転させながら撮っていった。


上中下と、上から最も明るい状態、中間、暗くした状態となる。


最も明るくした状態でだいたい2段程度、ND4程度だろう。

一番下は暗すぎて分からないので、フィルターをカメラに取り付け適正露出を算出してみた。


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最も暗い状態の適正露出、開放、フラッシュ2灯フル発光、ISO12800



明るさの変化を計算してみると、およそ10段、ND換算で1024という事になる。

おそらくもう1段明るくして適正露出と思われるので、11段分でND2048という事になるかな。

ただ、上の写真を見て分かる通り、色転びが甚だしいので実用は出来ないな。


という事で、目視で色転びする寸前で撮った画像が下の写真。



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色転びする寸前、多少シアンに偏っているが、実用可能範囲だろう



シアンに偏っているけれど、撮影対象、撮影目的にもよるが、実用出来そうなレベルだ。


下に、最も明るくして撮った写真。


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ホワイトバランスは、NDフィルター無しの状態が基準。


下が、フィルター無しで撮った写真。


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フィルター無し、ホワイトバランスは、床面で取っている



上に出力したNDフィルターを使った作例は、全てフィルター無しのホワイトバランスで統一。


NDフィルターの作例、全てシアンに転んでいる。

NDフィルターを暗く設定すればするほど、シアンへの転びも大きくなっていく事が分かる。


きっと高周波、周波数が高めの紫色の成分の光が一部偏光されずに透過して悪さをしているものと思われる。


PLフィルターを組み合わせて作った可変NDフィルター。

このPLフィルターを組み合わせたという事は、PLフィルターの効果が出ることが予想される。


PLフィルターの効果の一つとして、反射を抑える事。

そんな効果が写真に現われるか確認してみた。


フィルターの明るさを固定したまま、90度変化させて撮り比べてみたのが下の写真。


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よく見ると、床や窓の反射が変化している事が分かる



上の写真を見ていただくと、フィルター角度0度のものは車の反射が消えているのに対して、下の写真車の反射がくっきりと写っている。


当然の事だが、光は偏向されて映っている。

こんな、PLフィルターとしての反射の処理を効果的に使えばさらにおいしいフィルターとも言えそうだ。


ただ、この効果、いつもありがたいわけでは無いもの、光を偏向せずに全体の反射を自然に出したい時。

特に、人物の肌のつややかな感じなどは、偏向していない自然な反射が好ましいと思う。

それは、野鳥や野生動物の撮影でも言える事だろう。


人物や生き物をPLフィルターを通して撮ると、どうしても不自然、艷やかさ、生き生きした感じが無くなってしまう欠点があるのだ。

回転させて調整は出来るが、どう回転させようと自然な光とは違うのである。


という事で、万能ではあるが、状況によっては普通のNDフィルターを使ったほうがいいと思った。

一般的なNDフィルターは、全く偏向させないで減光させるので、使用しても被写体の反射の状態は変化しない。



最後に


今回作った可変NDフィルター、厳密な撮影にはちょっと難しいが、個人で撮る分には十分遊べそうだ。

今度は外で使ってみようと思う。



ただ、こんな便利フィルター、最近は値段の安いものもあるようなので、一つまともな商品を買ってみるかな。



最後までお読みいただきありがとうございました。



上に書いた内容、全ては管理人の思いつき。

とりあえず、いつものようにアップします。




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